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(No.6074)フェルディナント・フォン・シーラッハ「刑罰」/野崎まど「HELLO WORLD」

2019.07.12 (Fri)

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(ガウラ_ピンク=雫:長梅雨で青空が見たい:ベランダ)



珍しく、くしゃみと発熱の風邪を引きました。平熱が35.8度のわたしなので37度は、一般的には38度の感じでしょうか。頭が朦朧として、2日寝込み少しづつ回復してきました。食品が冷凍してあるので助かりました。何もなければ回復にも時間がかかったことでしょう。

今回は2作。どうも、ひと月そのペースになりそうな予感です。
フェルディナント・フォン・シーラッハ「刑罰」
野崎まど「HELLO WORLD」


「刑罰」黒いダイバースーツを身につけたまま、浴室で死んでいた男。誤って赤ん坊を死なせてしまったという夫を信じて罪を肩代わりし、刑務所に入った母親。人身売買で起訴された犯罪組織のボスを弁護することになった新人弁護士。薬物依存症を抱えながら、高級ホテルの部屋に住むエリート男性。実際の事件に材を得て、異様な罪を犯した人々の素顔や、刑罰を科されぬまま世界からこぼれ落ちた罪の真相。

短編12作で構成され、犯罪者の立場、検察、裁判官、弁護士、証人、方医学者の視点を交え、怜悧に事実を示していきます。まるで裁判記録のように。けれど、わずかな文章の隙間から溢れ出てくる人間の感情の吐露が凄まじいまでに、リアルです。肯定も否定もせず、読者に任せられるのです。だからこそ、重く心に突き刺さるのでしょう。相変わらずすごい作家です。

「HELLO WORLD」本好きで内気な男子高校生・直実は、現れた「未来の自分」ナオミから衝撃の事実を知らされる。「お前は記録世界の住人だ」。世界の記録に刻まれていたのは未来の恋人・瑠璃の存在と、彼女が事故死する運命だった。悲劇の記録を書き換えるため、協力する二人。しかし、未来を変える代償は小さくなかった。

過去の自分に未来人が会う設定は、すでにさまざま読んできました。けれど野崎さんには独特の展開があり、筆致が見事です。一気に引き込まれて読ませてしまいます。伏線がきちんと収斂される新しい未来が、美しくはかない希望の象徴です。いいですね。この世界観にずっと浸っていたいと思ってしまいます。次作も期待しています。

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪
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(No.6073)フェリシア・ヤップ「ついには誰もがすべてを忘れる」/ 廣嶋玲子「弥助、命を狙われる 妖怪の子預かります8」

2019.06.26 (Wed)


(ジョウザンアジサイ=常山紫陽花=碧の瞳=ディクロア:2年目で開花。青い実ができるらしい:ベランダ)

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(マメグンバイナズナ:初花。道路脇でカラーが目に止まりました:市内)

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(カワラナデシコ:ふっと心が和みますね:市内)

ブログに向かう時間が次第に少なくなって行きます。Twitterの方が気軽に書けるからでしょう。
ゆづくんのFaOI(ファンタジー・オン・アイス)幕張、神戸、仙台、富山の3日間の4カ所。計12日の全力公演も終わりました。すばらしい演技でした。現地に行っていないので、様子はネットで見られると思います。新シーズンのGSはN杯とカナダ杯に出場します。N杯のチケット争奪戦はとても取れる気がしません。カナダ杯に行こうかと計画中です。

読書は2作です。感想を書くのが億劫になりつつあります。歌うことが1番の喜びになっています。果たしてブログもどうなるのでしょうか(汗;)
廣嶋玲子「弥助、命を狙われる 妖怪の子預かります8」
フェリシア・ヤップ「ついには誰もがすべてを忘れる」


「弥助、命を狙われる 妖怪の子預かります8」「おまえの愛しいその子を奪ってやる」脱獄した女妖・紅珠がそう告げて姿を消して以来、弥助は養い親である千弥の過保護ぶりに息が詰まりそうだった。結界が張られた長屋から出ないことを条件に、普通の暮らし、妖怪の子預かり屋もやりたい弥助の願いを、千弥もしぶしぶ聞き入れたが。命を狙われた弥助を見て、千弥はついに助けを呼ぶ。

奉行であり大妖の月夜公と、烏天狗たちの包囲や、結界の間隙を縫って入り込んだ悪の手で、弥助は死にかけます。ひととき大妖(白嵐)の姿に戻る千弥。月夜公と千弥は力を合わせて、紅珠の捕獲に乗り出します。その決死の覚悟とパワーのぶつかり合いが、最大の見せ場でした。迫力がありました。時々は白嵐に登場してほしいと思ったりします。次作まで待ち遠しいです。

「ついには誰もがすべてを忘れる」2日間記憶を保持できる「デュオ」と、1日しか記憶できない「モノ」がいて、両者の間には差別問題や格差がある。どちらも日々日記を書き翌日学習して記憶を事実とし覚えると、あとは忘れない。ケンブリッジの川のほとりで遺体が発見された。被害者の女は日記で「デュオ」で有名作家マークの愛人だと書いていた。だがマークは否定する。妻クレアは事件が発生した2日前の記憶がない「モノ」だった。そして事件を追う警部も、刑務所から出所したばかりのマリスカも大きな秘密を抱えていた。

紙の日記時代からiダイアリーに移行した現在は、紙日記は金庫に大切に保管されています。危うい世界での殺人事件の捜査の難しさが、面白いミステリにしています。夫婦のあり方も次第に変化していく様も、興味深く読みました。「記憶」が連綿と続いているものではなく、個々にとってどんなに都合のいいものかは、現実社会でも同じです。お勧めです。

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(No.6072)サントリーホール オペラ・アカデミー修了コンサート

2019.06.01 (Sat)


(ブーゲンビリア:区画整理で閉店の花屋さんの最後の美:ベランダ)

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(ナデシコ・ダイアンサス:淡く小さなイエローが愛おしい:ベランダ)

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(シキンツユクサ:南国の生命力溢れる露草:ベランダ)

「サントリーホール オペラ・アカデミー修了コンサート」を聴いてきました。
ソプラノ:大田原瑶、金子響他8名
メゾ・ソプラノ:細井暁子
テノール:鷹野景輔
バリトン:石井基幾他5名
バス:小幡淳平

オペラ・アカデミーとは、ジュゼッペ・サッバティーニ指導による3年のソリスト養成コースです。ソリストを目指す一人一人の力も思いも出た、いいコンサートでした。
気に留めていたバスは、低音が活かせていない印象です。確かにソロ曲って少ないのですよね。
ソプラノ・メゾは声帯の違いが個性になるので、それぞれに良かったです。明るい声質の金子さんの終音が1/4♭気味だったのが惜しいです。大田原さんが好きかもです。未来がある歌い手たちです。
08:17  |  音楽  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.6071)フランシス・ハーディング「嘘の木」

2019.05.26 (Sun)


(ブルーウィング:一目ぼれでお持ち帰り:ベランダ)

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(ブルースター白花:早春の苗からようやく開花:ベランダ)

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(カリブラコア=黄:小花がかわいい:ベランダ)

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(カリブラコア=赤:小花がかわいい:ベランダ)

急に猛暑日が続き、体が追いつきません。来週は落ち着きそうですが、まさか梅雨なしなんてないですよね。
今回は1作です。

フランシス・ハーディング「嘘の木」
1800年代後半のイギリス。高名な博物学者で牧師のサンダース師による世紀の大発見。だがそれが捏造だという噂が流れ、一家は世間の目を逃れるようにヴェイン島へ移住する。だが噂は島にも追いかけてきた。そんななかサンダース師が謎の死を遂げる。自殺ならば大罪だ。密かに博物学者を志す娘のフェイスは、父の死因に疑問を抱く。奇妙な父の手記。嘘を養分に育ち、真実を見せる実をつける不思議な木。フェイスはその木を利用して、父の死の真相を暴く決心をする。

女は男の半分の脳みそで生きていると平然と言われ、学問不要という時代です。一家の体面を維持しようと必死の母マートル。初めて父と一緒にボートで行った洞窟の記憶を頼りに、一人で波をかき分けて行くフェイスの姿勢がぴしりと背中を張らせます。本格的なコルセットをせずに入られた時期の、少女だからできたのでしょう。父が殺されて証拠を固め、大切な残された書類を守ります。楽しく感じさせる冒険もあり、軽く読んでいけます。「嘘の木」そのものの設定は多少無理がありますが、なかなかおもしろかったです。

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16:43  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.6070) 滝巡りバスツアーに参加

2019.05.19 (Sun)


(フデリンドウ:小さな初花に会えてうれしい:軽井沢)

滝巡り日帰りバスツアーに参加してきました。
軽井沢の高地なので山桜や八重桜がまだ咲き残っていました。ウワミズザクラはバス通過で写真が取れなかったのが残念です。山岳地帯を歩いたのはほぼ初めてです。積もった枯葉に混じる小枝で3度も滑ったり、小さな山野草に目を奪われ一行から遅れたりしました。薄日の差すハイキング日和です。
カラマツ林の新緑の美しさに心が洗われました。緑と水と空気感。いつもと全く違う世界に、一日浸っていたかったです。可能であれば、自由行動でチョイスしてまた行けたらと名残惜しい旅でした。

翌日のきょうは、腿の筋肉痛だけで済みました。
(カメラ操作ミスで、後半の1/2以上画像を消すという痛恨のドジです。かろうじて残った写真のみです)

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(ネコノメソウ:群生してきれい:軽井沢)

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(トウゴクサバノオ:小さな自己主張がかわいい:軽井沢)

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(カラマツ林:新緑の美しさ:軽井沢)

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(白糸の滝:想像以上に水量が多かった:軽井沢)

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(滝止めの滝;規模が大きく迫力あった:軽井沢)

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(滝返しの滝;スマートに感じた:軽井沢)
16:09  |  思い  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.6069)マット・ヘイグ「トム・ハザードの止まらない時間」/アリ・スミス「両方になる」

2019.05.12 (Sun)

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(トリテレイア:新顔のブルーがきれい:ベランダ)


(ツルタンサス:数年ぶりに開花。寄せ植えで生存本能に火が?:ベランダ)

すっかり初夏の気候になり、10連休も音楽三昧の楽しい時間を過ごしました。
今回は2作です。ミステリから少しだけ離れたかもしれませんが、楽しめました。

マット・ヘイグ「トム・ハザードの止まらない時間」
アリ・スミス「両方になる」


「トム・ハザードの止まらない時間」トム・ハザードは歴史教師としてロンドンへ還ってきた。以前暮らしていたのは16世紀末。400年以上生きている「遅老症」だった。生れ故郷で魔女狩りにあった母。シェイクスピアとの出会い。ペスト流行。太平洋航海。そして遅老症の人々による謎の組織への加入し、自身の安全と生き別れの娘マリオンに会う代償として、秘密の責務を負うことになる。妻ローザ、友人たち。それらが思い出され、現在を生き、気にかけているカミーユとの関係もトムを苦しませる。

8年程度で移住を繰り返さないとならない世界。そうですね。夫婦だった二人がいつか母と息子に見えてしまうなら、周囲の騒音は推して知るべしです。自分の生きる意味、希望をいつか諦めてしまいそうになります。トムは娘が支えになるけれど、ラストはそうくるか・・という収斂の手法です。「遅老症」の登場人物が多すぎるのが煩雑な印象を与えます。少し整理して一般人と違う苦しさを明確にした方がいいのではないかと思いました。でも、最近の中ではおもしろかったです。

「両方になる」15世紀イタリア。宮殿壁画職人の「私」は、権勢を誇るコズメに比べると足元にも及ばない。けれど壁画を書き続ける。自分の思う聖人像を。「母は絵描きのための本を出版し、(少年や若い女の動きに対して)男の動きには力強さが足りない」と記し、両方になるのに必要な柔軟性と簡潔さを理解していた。
550年後。母を失ったばかりの21世紀のイギリスのジョージはiPadをこなし、音楽を自由に手に入れ美術さえ見ることができる。家族とイタリアを訪れた部屋で、壁画に出会う。複雑な幾層にも重なりあう不思議な物語があった。二人の物語は時空を超えて響き合い、男と女、絵と下絵、事実と虚構の境界をも鮮やかに塗り替えていく。

壁画職人の置かれた地位も女性の価値も、おそらく低かったでしょう。その中で自分の思う絵を描くことと、見合う対価を求めることの葛藤が描かれます。その行為が550年後に見出されます。こんな自由な絵を描ける画家がかつていたことと、自分も悩みを抱えながらもがいているジョージ。どちらもそれぞれに「両方になる」べく、生きようとする姿勢がいいですね。流れる雰囲気、空気感がすてきです。

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