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(No.5985)ジョー・ウォルトン「バッキンガムの光芒」/キャリー・パテル「墓標都市」/薬丸岳「その鏡は嘘をつく」

2017.09.17 (Sun)


(マンデビラ:青空に上って行きたい:浜松の公園)

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(アゲラタム:白もきれい:浜松の公園)

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(黄花コスモス:オレンジが鮮やか過ぎて:浜松の公園)

旅行から戻り、ようやく落ち着きました。
今回は3作です。
ジョー・ウォルトン「バッキンガムの光芒」
キャリー・パテル「墓標都市」
薬丸岳「その鏡は嘘をつく」

「バッキンガムの光芒」ソ連が消滅し、大戦がナチスの勝利に終わった1960年、ファシスト政治が定着したイギリス。イギリス版ゲシュタポ・監視隊の隊長カーマイケルに育てられた養女エルヴィラは、社交界デビューと大学進学に思いを馳せる日々を過ごしていた。裏でカーマイクルは監視隊の地位を利用し、無実のユダヤ人たちを国外に逃亡させる非合法組織を束ねていた。しかしエルヴィラたちの人生は、ファシストのパレードを見物に行ったことで大きく変わってしまう。

古き社交界の会話が聞こえてきそうな描写と、カーマイクルの隠れた仕事との落差が、エルヴィラ逮捕で現実に繋ぎ合わされました。カーマイクルの表の仕事の立場とエルヴィラへの対処、後半のエルヴィラの果敢に立ち向かう姿がなかなかです。多少うまくいき過ぎ感はありますが、読ませてくれました。

「墓標都市」旧文明の崩壊から数百年。多くの人々は地上を厭い、巨大な地下都市国家に暮らしていた。その一つ、ヴィクトリア朝風の階級社会が栄えるリコレッタでは、旧文明の知識は重大なタブーである。そんな中「プロメテウス」なる極秘計画に関わる歴史学者が殺された。女性捜査官マローンの活動は、なぜか上層部から妨害を受ける。そして貴族社会の裏側に出入りする洗濯娘ジェーンも、謎の男アルノーと出会って事件に巻き込まれてゆく。

舞台設定が特別な機能をしていません。中世の階級社会の物語として読みました。古風な殺人事件捜査。社交界デビューの準備をするジェーンと友人。クーデターの混乱で頭の良さを発揮し、生き延びるジェーンができすぎていますがご愛嬌。査官マローンのキレのなさと、利己主義な行動にはがっかりします。

「その鏡は嘘をつく」鏡ばかりの部屋で発見されたエリート医師の遺体。自殺とされたその死を、検事・志藤は他殺と疑う。東池袋署の刑事・夏目は同日現場近くで起こった不可解な集団暴行事件を調べていた。医師になることを親に強制されていながら、浪人になり希望を失った幹夫はヤケになっていた。予備校女性講師峰岸だけには相談していた。

薬丸氏の作品は、妙に中毒性があります。読み出すと止まらず、やや都合の良過ぎる設定や展開も気にせず、物語に浸っていたくなります。真犯人の周囲の人間関係の複雑さと、残虐性を見せつつ、それでもラストにひと雫の希望を明かりを残すからでしょうか。

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪
09:17  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.5984)  旅先の花たち

2017.09.14 (Thu)

旅行で出会ったお花たちです。

(コモレビソウ:1cmほどの淡い黄色がはかない♪ ネーミングがすてき:浜松からベランダへ)

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(クラッスラー・クーペリー:3mmの極小花。けなげ。つい守ってみたくなる:浜松からベランダへ)

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(オオケタデ:数年ぶりの再会でした。揺れ揺れのカメラ泣かせ:岐阜のお庭)

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(センニチコウ・ファイアーワークス:たくさんあるときれいですね:浜松の公園)

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(ハツユキカズラ:庭先のささやかさと違い、圧倒されました:浜松の公園)

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(アベリア・エドワードゴーチャ:日射しを燦々とあびた垣根:浜松の公園)
08:46  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.5983)  豊橋手筒花火大会&豪華ランチツアー

2017.09.12 (Tue)


(マンデビラ:浜松海岸の抜けるような青空と暑さ。さわやかな花:公園)

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(豊橋手筒花火大会:10本以上の火の粉を吹き上げる、勇壮な花火:愛知県)

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一人旅ツアーで豊橋手筒花火大会を観てきました。
2時間半に及ぶプログラムは、ステージでの太鼓もあり、楽しませたいという配慮の行き届いた花火大会でした。火の粉を散らす花火を手で抱えるのは、すごい迫力です。横に飛ばす花火や、写真を撮れなかった風車仕掛けもきれいでした。打ち上げ花火も交えて、いつまでも浸っていたかったです。のり巻き弁当を食べながらのイス席観覧でした。

途中から雨になり、雨具を移動バスの中に置いてきたのが悔やまれます。確率0%雨予報が局所的に外れました。タオルハンカチとジーンズジャケットでしのぎました。中止にならず最後まで、後半は花火の間を詰めて駆け足運営です。
広々としたホテルで、衣類はコインランドリーで乾燥させました。

浜松のフラワーパークは、ほぼ花屋さんに並ぶ花だけの構成で少し残念です。売店で「コモレビソウ」「クラッスラー・クーペリー」の苗をゲット、ベランダにお持ち帰りです。写真はのちほどupします。
陶磁器の常滑急須は、深い渋緑と黄土色の縞入りです。あときれいな青磁器の小皿を数枚、ゲットしました。人間国宝の方の作ったお茶碗で、お抹茶をいただきました。美味しゅうございました。

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(苔の美しいお庭:「八勝館」)
⇒⇒「八勝館」⇦⇦
2日目のランチは名古屋の「八勝館」という旧旅館で、現在は料亭でいただきました。涼しげな水色の和服の女将と中居さんのお出迎えで、豪華な懐石料理でした。ウニ、カニ、海老、松茸、鰻、鰆(サワラ)、鱚(キス)、金目鯛、鱧(ハモ)、咽黒、栗、茸などなど。お味噌汁は赤味噌でスルーしました。
1週間分の食事をした気分でした。苔の美しい庭園と、旧家の造りを堪能しました。こちらの写真ものちほど。

新幹線とバスでのツアーは、ベテランのツアーコンダクターで充分楽しめました。
09:20  |  思い  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.5982)ミネット・ウォルターズ「遮断地区」/薬丸岳「ハードラック」「神の子」「天使のナイフ」

2017.08.25 (Fri)


(ガウラ:咲き始めの形がかわいい:ベランダ)

連日の暑さと日照不足。おかしな夏です。残暑だからいいけれど、8月の梅雨のような気候が異常でした。

今回は4作です。
ミネット・ウォルターズ「遮断地区」
薬丸岳「ハードラック」「神の子 上・下」「天使のナイフ」

「遮断地区」独居老人、ドラックに浸る不良少年たちの住む低所得者層団地に越してきた老人と息子は、小児性愛者だと疑われていた。2人を排除しようとする小さな抗議デモは、10歳の少女が失踪したのをきっかけに暴動へ発展する。団地は封鎖され、石と火焔瓶で武装した2,000人の群衆が襲いかかる。警察も入れない。医師のソフィーは、暴徒に襲撃された親子に逆に監禁され暴行されそうになる。出所したばかりのジミーは恋人を救おうと行動を起こす。

しばらく読んでいなかった作家です。こういう作品も書くのですね。一気に読ませる展開と、登場人物の多さと細部描写のくどさが入り交じり、主題がわかりづらいのが惜しいです。社会的主張や心の精神的闇も深くはありません。サスペンスとしてはいいのではないでしょうか。

「天使のナイフ」桧山は、生後5ヵ月の娘の目の前で妻を殺された。だが、犯人3人は13歳の少年だったため、罪に問われることはなかった。4年後、犯人の1人が殺され、喫茶店を営む桧山は疑惑の人となる。捜査陣も周囲も信じてはくれず、自ら疑惑を晴らそうと動き出す。

個人の立場でどこまで事件を追いかけられるのか、少し無理もありますが読ませられました。少年犯罪を視点をしっかりと定めた描き方が、うまいです。ハマりそうです。

「ハードラック」25歳にもなって日雇い仕事すら失い「大きなことをするため」闇の掲示板で同類を募った。4人の応募者の一人が主導権を握り、仁たちは軽井沢で強盗に入る。だが思いもよらず気を失い、放火殺人の汚名を着せられてしまう。なぜおれを嵌めたのか。信じられるのは誰か。手探りで真犯人を探す仁、闇世界の住人たち、追う刑事。物語は二転三転していく。

登場人物各々の背景が描かれ、最後まで誰をも信じられない葛藤が続きます。お人好しの仁が招いてしまう結果なのですが。真面目に生きる術を失い、犯罪に手を出してしまう敷居の低さ、誘惑の大きさに言葉を失います。格差を這い上がることができない、いまの社会の怖さを改めて認識させられました。何作か読んでみたいです。

「神の子 上・下」殺人罪で少年院入所。知能検査でIQ161以上を持つ町田博史は、戸籍を持たない劣悪な境遇の中、感情を見せず自分の頭脳だけで生きてきた。そして町田たち数人の脱走事件は失敗し、内藤法務教官は外からそそのかした人物がいたことを知る。その後、町田はずば抜けた記憶能力で本を読み大学受験の資格を取り、退所後大学に入りアルバイトをしながら生きていく。一方、闇社会で絶大な権力を持つ男・室井は町田を執拗に追い求めていた。

いまならサヴァン症候群として、きちんとした対応も取れるでしょう。ミノルとのみ仲良く遊んだ喜びと罪悪感を、記憶の深いところに沈めています。町工場でバイトの空き時間に義手を造ったり、会社を興す手伝いをしながらも、一歩距離を置いていきます。感情がわからない町田の、奇跡的な生き方にぐいぐい引きつけられて読みました。多少の過不足を上回る筆致がみごとです。

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08:18  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.5981)  歌のレッスンとボイストレ

2017.08.20 (Sun)


(ペラルゴニウム・シオドイデス:花の少ない夏。紅色が絶え間なく咲いてくれます:雨のベランダ)

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レッスンで選んだ曲は、オーソドックスな歌曲です。
「Piacer D'amor 愛の喜びは」。もう1曲は悩み中です。
ボイストレーニングの課題曲は「Sento nel core 私は心に感じる」。希望曲は「Sogno 夢」。
どちらもイタリア語の発音が一段と難しくなりました。装飾音符や連符が混み入ってます。旋律がきれいなので、歌っていて楽しいです。旋律とイタリア語を覚えるのが最初の練習です。発声にようやく気を配れるようになり、歌詞の対訳も見て、曲のイメージをつかみます。
ICレコにレッスンを録音し、再生しながら覚えていくのですが、時間がかかりますね。

7月の猛暑。そして8月はまるで梅雨のようなお天気が続いています。長い間青空を見ていません。
昨日の夕方は、帰宅後すぐに雷と豪雨になりました。都内では落雷や雹も降ったようです。朝は25度くらいと低めですが、蒸し暑く、日中は30度超えと服の調整も難しいです。変わらないのは、紫外線アレルギー対策だけでしょうか。
08:56  |  音楽  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.5980)薬丸岳「Aではない君と」/谷崎由依「囚われの島」/河野裕「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」

2017.08.09 (Wed)


(ヌスビトハギ:今年も小さな小さな花がきれいです:公園)

大きな被害を残した台風5号。関東は影響が少なく逸れてくれました。
きょうは長崎原爆投下から72年の祈りの日。6日は広島でした。ネットで被爆当時の写真や体験記を見られるのですね。最初に衝撃を受けたのは、峠三吉の詩集でした。たくさんの映像や資料も読みましたが、最近は積極的には見なくなっていました。風化させてはいけないけれど、戦争へ駆り立てられる風潮のマスコミや批判しづらい空気が怖いです。
猛暑37度予報はおそらく体感は40度でしょう。水を求めてさまよった被災者の方々を思います。

今回は3作です。
薬丸岳「Aではない君と」
谷崎由依「囚われの島」
河野裕「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」

「Aではない君と」同級生の殺人容疑で14歳の息子・翼が逮捕された。親や弁護士の問いに口を閉ざす翼は事件の直前、父親に電話をかけていた。会社の飲み会で出られず、かけ直すが繋がらない。その電話に出ていたら。別れた妻と暮らす息子とは数ヶ月程度に電話する程度だった。息子からのSOSを感じ取れなかった。息子の事を顧みなかった過去を悔いる両親。父親は弁護士とともに探っていく。真相は語られないまま、親子は少年審判の日を迎える。

しばらく読んでいなかった作家です。うまくなっていたのですね。父の視点から犯罪者になった息子と、真っ正面から向き合ういい作品です。自分の子どもが加害者、被害者のどちらの立場にもなり得る時代です。成長とともに、親が知らない悩みや悲しみを持つ子どもの心に、寄り添う難しさを考えさせられます。「心を殺すのと、体を殺すのと、どっちが悪いの?」とっさに息子に答えられず、父親も考えていきます。いまの子どもはわからない、という方にも是非お勧めです。

「囚われの島」誰か「罪」を犯したのか。盲目の調律師に魅入られた新聞記者の由良。二人の記憶は時空を超え、閉ざされた島の秘密に触れる。

盲目の徳田が飼っている蚕に魅入られた由良は、お互いによく見る夢の共通点に気付きます。彼の思考に近づこうと踏み出していきます。その特殊な空間の、空気感、皮膚感覚、聴覚、幻想的で美しいです。滅びた養蚕の村の戦争前夜の描写も、ラストまで捉えどころのない感覚世界を受け入れられるかどうかで、評価が分かれると思います。おもしろいけれど、もう一度この作家を読みたいとは思いませんでした。

「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」夏休みの終わりに、真辺由宇と運命的な再会を果たした七草は「あなたは引き算の魔女を知っていますか」彼女からのメールをきっかけに、魔女の噂を追い始める。高校生と、魔女。ありえない組み合わせが、確かな実感を伴って七草と真辺の関係を侵食していく。一方、その渦中に現れた謎の少女・安達。現実世界における事件の真相が明らかになっていく。

ラノベとして軽く楽しめました。どこかつかみ処のないキャラも、ストーリーも、展開も全部受け入れて読むしかありません。読み終わってなにも残りませんでした。

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