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(No.6107)ブライアン・サイクス「アダムの運命の息子たち」/ケイト・ウィルヘルム「鳥の歌いまは絶え」

2020.07.03 (Fri)


(斑入りツユクサ:よそのお庭がうらやましい美しさです:市内)

都内通勤者の多い県なので、感染者がじわじわと増えているのが怖いです。
9月のヴァイオリンコンサートの案内がきました。ぜひ聴きたいと思いましたが、会場往復の電車が密になるし、心から楽しめないのではないかといかないことを決めました。音楽に飢えてはいるのですけどね・・。

今回は2作です。
ブライアン・サイクス「アダムの運命の息子たち」
ケイト・ウィルヘルム「鳥の歌いまは絶え」


「アダムの運命の息子たち」父系でのみ受け継がれるY染色体遺伝子の生存戦略が、世界の歴史を動かしてきた。二つの性の誕生、進化における性の役割、男性間あるいは男女間の遺伝子存続を懸けた戦い。地球生命の進化史を再検証することで、人類の戦争や暴力の背景にある「アダムの呪い」が次第に浮かびあがる。そして、その果てには「男性のいない世界」が待ち受けるのか。

Y染色体やミトコンドリアDNAの話も、興味を引く展開でした。知識の威圧感がなく、すんなりと受け入れられます。1.000年以上前、ヴァイキングのスコットランドなど北欧襲撃・略奪した歴史を解明し、調査でヴァイキング系列のmtDNAを持つアイスランド人が70%いるという驚きの結果がわかるのです。さらにチンギス・ハーンのモンゴル占領など、富を独占する男性の群れとそれを必要とする女性たち。そして現代の男性の生殖不能傾向にまで及ぶ考察にすっかりねじ伏せられてしまいました。おもしろく飽きさせず読ませます。科学的にどうなのかはわかりませんが、ひとつの新しい考え方として小説のようにおもしろかったです。

「鳥の歌いまは絶え」放射能汚染によって、生殖能力が極端に低くなった地球上の生物群は、緩やかな滅びへと向かっていた。その中で豊かな渓谷の一族が研究所を創り上げ、クローン繁殖の技術によって滅亡を回避しようと試みる。だが誕生したクローンたちは個々の自意識が薄く、今までの人類の文化と異なる無個性の王国を築き上げようとしていた。

同じ種族だけで一緒にいることで安心してしまう新しい生物。将来を見越すだけの想像力がないから、危険があると彼らに告げようとする者は、共同体の敵あり排除の対象に。人間が多種多様な存在であることで、差別や戦争が起きる一方で、繁栄をもたらしてきた歴史のようでもあります。現実社会の目指す理想の極地も、怖い世界だと思います。

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪

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(ソープワート:雫は魔法使い。そんな朝でした:市内)

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(アベリア_ルビーアニバーサリー:初花です。ガクが秋色の絶妙さ:市内)

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(アガパンサス:白花も多く見かけるようになった:市内)

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(リシマキア・ミッドナイトサン:珍しいお花で、特定が難しかった:市内)

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(スペアミント:雫がキラリ:市内)
20:42  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.6106)廣嶋玲子「千弥の秋、弥助の冬 妖怪の子預かります10」/マーサ・ウェルズ「マーダーボット・ダイアリー 上・下」

2020.06.19 (Fri)


(赤花ニセアカシア:赤は始めて見ました。嬉しい出会いです:市内)

ウィルスの国内での感染はかろうじて食い止められていますが、出入国の制限緩和には第二波があるでしょう。
歌のレッスンが再開しました。マスク着用です。夏用でなんとか歌えます。コーラスのお誘いはちょっと二の足を踏みます。会場の換気設備が法令順守とはいえ、ウィルス殺菌されるわけではなく、ある程度の人数がマスクなしで2時間は危ういと思います。主催者は甘く見ているのではないでしょうか。合唱団のクラスター発生も聞いています。年内は休もうと思います。

スケートリンクも徐々に制限付きで再開しています。試合を見たいけれど、ただ世界中から集まるGP大会、世界戦は難しいでしょう。羽生結弦選手からのメッセージで、ほっとしていますし嬉しいです。安定の黒ジャージも。写真集3冊が6月にそれぞれのカメラマンたちの思いで紡ぐ物語。1冊購入しました。きょう到着予定です。3冊ともに書店の売り上げ3位を独占しています。出版業界の救いでもあります。

今回はネットアプリ本と、再開した図書館本です。手元に後2冊あり、読みた本リストが増えてきています。読書欲は戻ったようです。
廣嶋玲子「千弥の秋、弥助の冬 妖怪の子預かります10」
マーサ・ウェルズ「マーダーボット・ダイアリー 上・下」


「千弥の秋、弥助の冬 妖怪の子預かります10」弥助に対しては過保護だったが、最近度が過ぎるし、千弥の様子がおかしい。物忘れも激しい。心配する弥助に対し、千弥は何でもないの一点張りで、ふたりは初めて激しい喧嘩をしてしまう。以前千弥は月夜公に執着する女妖の魔手から弥助を救うために、妖怪の誓いを破った。ほんの一時のことだったが、誓いを破ったことに変わりはない、その報いを受けねばならないのだ。

千弥の下した決断は悲しく切ないです。弥助を傷つけないために、鈴白山に棲む冬の妖・細雪丸に氷に閉じ込めてほしいと依頼します。飛黒は弥助を暖かい衣に包み、玉雪と空を飛んでいきます。氷の中の千弥に必死に呼びかける弥助。小さな希望が差してきます。こういう結末を用意するとは。廣嶋氏はうまいな、と毎回思います。最終章なので、別な物語を読みたくなります。

「マーダーボット・ダイアリー 上・下」かつて大量殺人を犯したとされたが、その記憶を消されている人型警備ユニットは機械と生体の合成体だった。一人称「弊機」で、物語は進行する。自らの行動を縛る統制モジュールをハッキングして自由になった。人間を守るようプログラムされたとおり所有者である保険会社の業務を続けているが、連続ドラマの視聴をひそかな趣味として少しづつ人間の感情を理解し始める。メンサー博士の指令を受け、ある惑星資源調査隊の警備任務に派遣された弊機は、ミッションに襲いかかる様々な危険に対し、プログラムと契約に従って顧客を守ろうとするが・・。

一気に引き込まれて読みました。強力な戦闘ユニットであり、腕に強力な銃を装着しています。強化人間で人間のふりをするときは、センサーにハッキングし通過する初歩から、運搬船操縦ユニットを操るほど明晰な頭脳です。自らの体を犠牲にしても博士の命を守り、買い取られて任務を解かれ、自由にやりたいことや学ベル環境に置かれると、ふらりと姿を消します。こういう一人称ストーリーはなかった気がします。ユーモアもあり、スピード感、アクションなんでもありで楽しめます。

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪

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(パンドレア:ツートンが美しい蔓性の花:市内)

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(ビヨウヤナギ=未央柳:あちこちで咲き誇り、終盤です:市内)

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(イヌツゲ:綺麗に生垣に整えられています:市内)

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(エノテラ ・バーシカラー:初花。神社の境内でひっそりと:市内)
10:35  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.6105)須賀しのぶ「紺碧の果てを見よ」/「神の棘Ⅰ・II 」

2020.06.02 (Tue)

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(姫ヒオウギアヤメ:お手入れが少なめの路地に美しい花:市内)

本を読むのも、感想を書くのもすっかり億劫になってしまいました。ステイホームは、思いの外気力を無くさせてしまうようです。
歌のレッスンがなくなり、すでに3カ月が立ちます。自主練習は続けていますが、筋力の衰えを防ぐ程度です。楽しく厳しいレッスンはいつ再開するか、目処が立っていません。コーラスも同様です。コンサートもありません。
もちろんスケートも、グランプリシリーズ1戦目のアメリカが10月。8月に開催の可否を決定予定です。選手たちもリンクの再開、練習開始がどうなるか難しいところです。10-12月は、アメリカ、カナダ、中国、フランス、ロシア、日本。そしてGPファイナルです。世界戦は来年3月。見通しが立っていません・・。

今回は2作です。
須賀しのぶ「紺碧の果てを見よ」/「神の棘Ⅰ・II 」

「紺碧の果てを見よ」会津出身の父から「喧嘩は逃げるが、最上の勝ち」と教えられ、反発した鷹志は海軍の道を選び、妹の雪子は自由を求めて茨の道を歩んだ。海軍兵学校の固い友情も、つかの間の青春も、ささやかな夢も、苛烈な運命が引き裂いていく。戦争の大義を信じきれぬまま、海空の極限状況に翻弄されていく。

資源のない日本の無謀な大戦を、今までも様々な作家の物を読んできました。須賀氏は、軽装備のゼロ戦特攻隊員への思い入れを消し、冷徹な視点で大局を視野に個人の心情までも自在に描き出していきます。いこれまでにない視点に気づかされました。真珠湾攻撃前の、開戦布告がなぜ遅れたのか闇に包まれたままです。ラストの敗戦による混乱を収めた鷹志の言葉が光ります。「我らは、敗北を糧に立ち上がる防人である。いかなる時代にあっても、諸君よ、紺碧の果てを見よ」なかなかの作家だと思います。

「神の棘Ⅰ・II 」家族を悲劇的に失い、神に身を捧げる修道士となった、マティアス。怜悧な頭脳を活かすため、親衛隊に入隊したアルベルト。寄宿舎で同じ時を過ごした旧友が再会したその日、二つの真の運命が目を覚ます。独裁者が招いた戦乱。ユダヤ人に襲いかかる魔手。信仰、懐疑、友愛、裏切り。ナチス政権下ドイツを舞台に、様々な男女によって織りなされる、歴史小説。ユダヤ人大量殺害という任務を与えられ、北の大地で生涯消せぬ汚名を背負ったアルベルト。救済を求めながら死にゆく兵の前で、ただ立ち尽くしていた、マティアス。激戦が続くイタリアで、彼らは道行きを共にすることに。聖都ヴァチカンにて二人を待ち受ける「奇跡」とは。廃墟と化した祖国に希望はあるのか。

地続きの北欧の、国境を崩し侵略する戦争の凄まじさを、強く意識させられました。独裁政権に民意が流れていく様も、心に刻まれます。わずかな抵抗や救出が、その後の祖先の血統にまで遡り立ち位置が変わります。まして国がなくなるなど、国語も禁じられる世界は壮絶です。どんな占領者の元でも、人々は日常を営んでいかなければならないのですから。個人のできる限界や、心の有り様をどうするか。自分に常に問い続けなければ、倒れてしまう自分の危うさ。膨大な死傷者の人数に言葉を失います。この壮大なストーリーを描く作家の筆致の前にひれ伏すしかありません。

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪


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(ヒメフウロ:人通りの少ない路地のプランターで咲く:市内)

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(ネズミモチの生垣:長い垣根に真っ白な花と甘い香り。初めて見ました:市内)

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15:08  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.6104)早朝ウォーキングで見かけた花たち

2020.05.21 (Thu)



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(エゴノキ"ピンクチャーム":塀の上から覗いていました。背が伸びたから見えたのね)

外出が少なくなり、体力の衰えを感じました。長引くとまずいかなと、ウォーキングを始めました。
とは言え、せいぜい40〜50分。5.000歩程度ですが。途中休憩で飲料を補給し、それでも汗びっしょりになって戻ります。シャワーを浴び、衣類を洗濯するのが日課になりました。お庭や玄関前の鉢植えに、手入れをしている様子がわかります。皆さん、お花が好きなのですね。久しぶりに見る花たちが新鮮で美しさに包まれます。
しばらくはお花だけとお付き合いください。

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(ハクチョウゲ=白丁花:白と紅。ひとえと八重が入り混じっています。
 根元が太いのでまとめて植えたのでしょう)

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11:27  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.6103)山本弘「プロジェクトぴあの」/須賀しのぶ「荒城に白百合ありて」

2020.04.22 (Wed)


(カンパニュラ・ブルーワンダー:一目惚れでベランダにお連れしました)

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(ナガボヒナゲシ:ひっそりと、しっかりと存在感:市内)

市内の基幹病院でのウィルス感染で、次第に身近に迫ってくる感じです。最低限の外出ですが、音楽のない暮らしがこんなに飢餓感をもたらすとは。医療関係従事者、配送関係、スーパーなど、どんな過酷な状況になっていることでしょう。羽生結弦選手の深い配慮と気持ちの込もったメッセージには励まされます。いつ終わると知れない感染の終息。時々気が滅入りますが、ゆづくんの笑顔に会えるまでマスクやシールドなど個人でできることでしっかりと過ごしていきます。

今回は2作です。
山本弘「プロジェクトぴあの」
須賀しのぶ「荒城に白百合ありて」


「プロジェクトぴあの」貴尾根すばるは、秋葉原の電気街で結城ぴあのと出会った。「宇宙へ行きたい」と語るぴあのは、物理学と天文学の天才だった。やがてトップアイドルに上り詰める。その資金と人材で、物理法則をねじ伏せ、超光速粒子推進を実用化した「ピアノ・ドライブ」の開発に成功した。人類はとうとう、光の速度を超えてあらゆる場所へ旅する手段を獲得したのだ。実現に近づく「宇宙へ」というぴあのの渇望。地球の外へ、そして系外宇宙へ。最強敵の太陽フレアも危機を回避。ついに6人乗り宇宙船が完成する。だが・・。

愛憎がない普通の人間ではないと自分を考えながらも、誰よりも人間らしく輝き、宇宙への愛のために突っ走るぴあの。新しい人間像に魅了されました。メカぴあのとの、ステージで歌を競うシーンが好きです。一緒に走り抜ける爽快感、行動力、最後の決断。それに気づくのはやはり、すばるでした。宇宙への憧れは誰もが持っているけれど、可能にする能力は天才であり新人類かもしれません。久しぶりの作家作品です。

「荒城に白百合ありて」薩摩藩士の岡元伊織は、昌平坂学問所で学ぶ俊才だが、攘夷に沸く学友のように新たな世への期待を抱ききれずにいた。伊織は安政の大地震の際に、燃え盛る江戸の町をひとりさまよい歩く、美しい少女を見つけた。あやかしのような彼女は訊いた。「このくには、終わるの?」と。伊織は悟った。「彼女は自分と同じこの世に馴染めぬいきもの」だと。それが青垣鏡子との出会いだった。魂から惹かれあう二人だが、幕末という「世界の終わり」は着実に近づいている。鏡子は会津藩の下士の家に嫁ぎ2人の子をもうけるが、愛を持てなかった。伊織は薩摩藩、長州藩の変遷、安政の大獄、桜田門の変と激流に飲み込まれそうになるのを、一歩引いて渡り歩いていた。

歴史小説ですが、人物像がくっきりと浮き上がりそれぞれの抱える心を描き出す巧みさは、舌を巻きます。死が間近にある時代の会津の鑑とされる嫁の役割もこなす鏡子は、存在の「異」を感じて生きる。「死」の象徴でもある白百合はタイトルとしても活きていると思います。物語に取り込まれ、一気読みさせるなんともすごい作家です。

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10:46  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.6102)須賀しのぶ「また、桜の国で」/ジェイン・ハーパー「渇きと偽り」/テッド・チャン「あなたの人生の物語」

2020.04.14 (Tue)

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(メラスフェルダ:株が増えてきて嬉しい:ベランダ)

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(桜・御衣黄=ギョイコウ:見上げる人も少なく、桜は過ぎていきます:公園)

新型コロナウィルス肺炎の世界的パンデミックスが起きています。今もなお広がり続け、日本国内も対策が急務になっています。ニュースでご存知の通りの、日本の国民への政府支援は無策につきます。こっそりと議員報酬を上げて起きながら、マスク2枚配布と制限の厳しい各種給付では、個人事業主や零細企業、パートその他の弱者を切り捨てます。ウィルス終息の後は、人々の困窮と文化の死の国になっているのではないでしょうか。個人の力では感染予防しかできません。こんな大災害を経験することになろうとは。

こもっている日々が多いので、本を読んでいます。歌のレッスン、コーラスも再開の目処が立っていません。一人でお家練習で、筋肉を落とさないようにしようと思っています。

今回は3作です。
須賀しのぶ「また、桜の国で」
ジェイン・ハーパー「渇きと偽り」
テッド・チャン「あなたの人生の物語」


「また、桜の国で」1938年10月。外務書記生・棚倉慎はポーランドの日本大使館に着任。ナチス・ドイツの侵攻、続くソ連の侵攻、緊張が高まる中、慎はかつてシベリアから日本の援助で祖国へ帰ったポーランド孤児たちが作った極東青年会と協力、戦争回避に向け奔走する。ヤンとレイとの不思議な友情も生まれる。だが戦争は勃発のワルシャワ。幼い日の約束を守るべく慎は、日本人としてポーランドのために戦う決意を固める。
ユダヤ人迫害、ゲットー蜂起、カチンの森、ワルシャワ蜂起と、歴史の陰に隠され敗れた者たちの目線からポーランド人を描く。そのエネルギーの象徴としてショパンの名曲「革命のエチュード」の旋律が行間から流れ出る。

ロシア人と日本人との間の慎は、日本では疎ましく感じた外見を、戦場では巧みに使って行くのです。滅びた歴史のあるポーランドが、気高く誇りを持って再び滅びていくのは、読んでいても辛く心に刻まれます。戦争の悲惨さは最終的には民間人の大量死に至ります。歴史を踏まえ、日本人を見据え、鋭く研ぎ澄まされた刃を突きつけてくれた小説でした。すごい作家です。

「渇きと偽り」連邦警察官フォークは20年ぶりに生まれ育った町へ帰ってきた。旧友のルークが自殺を遂げたと聞きつけたのだ。妻子を道連れに、なぜか赤ん坊を一人残して。ルークの親から心中事件の真相究明を依頼されたフォークは、干魃にあえぐ灼熱の町で、自身の秘めた過去とも向き合うことに。

閉鎖的で特有の親族意識の、行き詰まる社会です。展開がゆっくりなので、せっかちな私は途中少しダレてしまいました。ただ、それらの些細な事柄が一気に収斂されて行くラストは、力技でさすがです。ストーリーテラーの良作だと思います。

「あなたの人生の物語」地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者ルイーズは、まったく異なる言語を理解するにつれ、驚くべき運命にまきこまれていく「あなたの人生の物語」
天使の降臨とともにもたらされる災厄と奇跡「地獄とは神の不在なり」
天まで届く塔を建設する驚天動地の物語「バビロンの塔」
他8作品短編集。

言語を理解することは、存在を認めることでもあります。思い切った結末が面白い「あなたの人生の物語」
ひたすら構築して行く塔の高さは、太陽や星も下に見てしまう程。草木は下を向く。真面目に仕事をする心理がうまいです。結末はそうなるよね、という落とし所でした。「バビロンの塔」

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪
11:13  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
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