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(No.6006)パトリック・ネス&ジム・ケイ「怪物はささやく」/川瀬七緒「潮騒のアニマ 法医昆虫学捜査官」「女學生奇譚」/ビル・ビバリー「夜の果て、東へ」/前川裕「アパリション」

2018.02.14 (Wed)


(白梅:寒さの中でようやく咲き出しました:駅裏公園)

朝の氷点下からようやく抜け、日中の日射しで暖かくなってきました。
ベランダの鉢植えのシートカバーも外しました。お花たちもしおれていたのが立ち上がります。だめになった鉢植えがいくつかあります。残念。想定外の寒い冬でした。
手指3本の腱鞘炎は、痛みの残る人差し指を固定しています。治ったら体にも春が訪れるでしょうか。
羽生結弦選手が復帰です。会見と公式練習で大丈夫と確信しました。なによりも、本人が望む演技をして五輪を楽しんでほしいです。

今回は5作です。
パトリック・ネス&ジム・ケイ「怪物はささやく」
川瀬七緒「潮騒のアニマ 法医昆虫学捜査官」「女學生奇譚」
ビル・ビバリー「夜の果て、東へ」
前川裕「アパリション」


「怪物はささやく」怪物は真夜中過ぎにやってきた。墓地の真ん中にそびえるイチイの大木の怪物が、コナーの部屋の窓からのぞきこんでいた。「おまえに三つの物語を話して聞かせる。わたしが語り終えたら、おまえが四つめの物語を話すのだ」闘病中の母の病気が再発、学校では母の病気のせいでいじめにあい孤立。母が再度入院し、嫌いな祖母と暮らすことに最大の抵抗をする。コナーに怪物は何をもたらすのか。夭折した天才のアイデアを、カーネギー賞受賞の若き作家が完成させた物語。

コナーがどこにいても孤独を埋めるものはなく、それでいいと思いながら、心に風が吹き抜けていく描写がうまいです。言葉に出せない怒りを、怪物の力を借りて吐き出す件は切ないです。母への思い、手をつかむコナーの喜びと怯え。ここまで細やかに少年の心の軌跡をたどって描かれたことに、衝撃がありました。わたしも強く揺さぶられました。お勧めです。

「潮騒のアニマ 法医昆虫学捜査官」伊豆諸島の「神の出島」でミイラ化した女性の遺体が発見され、警視庁から岩楯警部補が派遣された。首吊りの痕跡から、解剖医は自殺と断定。死亡推定月日は3ヵ月以上前とされた。第一発見者によれば、島のハスキー犬がミイラを引きずってきたらしい。遅れて島に入った法医昆虫学者・赤堀涼子は、現場周辺を調べて遺体に「昆虫相」がないことに目を留めた。

赤堀のキャラがいきいきして、周囲が目に入らず突き進む性格が好きです。次第に感化されていく岩楯警部補に、にやりとしました。登場人物や設定も変化を持たせて飽きさせず、いいシリーズになりましたね。別な作品も読んでみようかと思います。

「女學生奇譚」フリーライターの八坂は、オカルト雑誌の編集長から妙な企画の依頼をされる。「この本を読んではいけない」から始まる警告文と古書を、竹里という女が持ち込んできたのだ。その古書の本来の持主である彼女の兄は数ヶ月前に失踪、現在も行方不明。このネタは臭う。八坂はカメラマンの篠宮、そして竹里とともに謎を追う。

構成もうまいし、八坂の想像力と感覚の鋭さを持つライターとしてのキャラが活かされています。竹里の不審な挙動など、小さな伏線までが結果をひっくり返す予兆を感じさせながら読ませます。おもしろい作家です。少し追いかけてみたいです。

「夜の果て、東へ」ロサンゼルスのスラム街「ザ・ボクシズ」で犯罪組織に所属する15歳の少年・イースト。仕事にしていた麻薬斡旋所が、警察の強制捜査で押さえられてしまう。ボスはイーストと、不仲で殺し屋の弟と少年たち4名に、ある判事を一週間以内に殺せと命令。バンで2,000マイルもの旅が始まるが、そりの合わない少年たちに衝突が起き、軋轢を繰り返しながら、イーストは孤独な魂を揺さぶられていく。

生きることだけで一杯一杯の状況で、愛情も知らずに育つ少年群像に、奇妙な共感を抱いてしまいました。判事の行き先さえ確定していず、スポット的な情報に従っていきます。対象者を見つけた時でさえ、判断に迷う曖昧さ。そして銃で射殺するのですが、見返りの報酬はどうなるのか、途中で脱落した少年、殺してしまった弟、2人だけの帰路をどうするのか。すべてが不条理な展開で、身に付いた律儀さで生き延びるのです。広いとも知らない世界の片隅で、希望さえ持たず、生きていくイーストに、気持ちを揺さぶられました。いままでにないおもしろさの小説でした。

「アパリション」予備校講師でミステリー作家の矢崎には、同じく作家を志す兄がいたが、忽然と姿を消してしまう。同じ頃、世間では二組の夫婦の失踪事件が注目を集めていた。事件の裏では、偽刑事の犯人が残した声が公開されたが、それは矢崎の兄のものだった。

矢崎の立ち位置から、動きにくい設定ではあるのですが、少し遠回りです。消去法で意外な犯人を絞っていく進展がわかりやす過ぎます。思いがけない展開がなく、がんばって書いているのはまともだけれど、新鮮みに欠けるかも知れません。

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(No.6005)ジョー・ネスボ 「悪魔の星」/前川裕「死屍累々の夜」/原 尞「愚か者死すべし」

2018.01.29 (Mon)


(スノードロップ:縮こまって咲き出しました。まだ早いよ:ベランダ)

氷点下の気温が連日です。あと一週間は続きそうで、初めての経験です。
ベランダの鉢植えの棚は、ビニールシートですっぽりと覆いました。ただ、一歩遅かった気がします。雪が降った時にしていたらよかったのに。駄目になりそうなお花も出てきています。

今回は3作です。
ジョー・ネスボ 「悪魔の星 上・下」
前川裕「死屍累々の夜」
原 尞「愚か者死すべし」


「悪魔の星 上・下」一人暮らしの女性が銃で撃たれ、左手の人差し指が切断された遺体から赤い五芒星形のダイヤモンドが見つかる。猟奇的な事件に、注目が集まる。ハリー警部は、3年前の同僚刑事の殉職事件を捜査し続けていたが、捜査中止を命じられ酒に溺れて免職処分が決定。正式な発令までの間、この猟奇的事件の捜査に加わる。人妻が失踪し、弁護士事務所では受付の女性が殺された。被害者はいずれも同一の手口。連続殺人犯のメッセージを読み解こうとするハリー。捜査を指揮するトム・ヴォーレル警部は、自分の仲間になるようハリーに圧力をかけてくる。

テンポの良さと、自分の勘を信じて行動するハリーが戻ってきました。「ネメシス」は訳者&出版社編集となっていたので、不満を抱かせてしまったのでしょう。雨の捜査や危ないアクションにハラハラさせられ、二転三転する展開にぐいぐい引き寄せられて読みました。いやぁ、切り捨てなくてよかったです。おもしろいです。次作も楽しみです。

「死屍累々の夜」10人の男女を殺害し、6人の女と共に集団自殺を遂げた木裏。元大学助教授のセンセーショナルな「木裏事件」に、30年後「私」はフリーの記者としてようやく取材を開始し、全貌と謎に満ちた男の内奥に迫る。木裏は暴力団組長の娘と結婚し、わずか5ヵ月後に妻を絞殺し懲役12年の刑に服した。出所後、生前父親の経営していた旅館を継ぐが、東京に出て「花園商会」という売春斡旋業で大きくなる。各地に居を移しながら手を広げ、新潟の老舗旅館に取り入ったのち売春宿に変貌させる。

取材者視点とは言え、木裏の言動はフィクション構成なので、登場人物の思考や気持ちの揺れが充分描かれます。精神的に木裏に絡めとられていく様子、バイオレンスも、距離感があるので目を背けるものではありません。関わる人間の側からの描写がありながら、木裏の心理の底にあるものは、記者も迫り切れなかったところがあるのでしょう。肝心の一点がするりと抜け落ちていくのが、木裏の見せない深淵の深さとも受け取れます。真摯な作家ですね。

「愚か者死すべし」大晦日。沢崎の探偵事務所を尋ねて来たのは、旧相棒「渡辺」を頼って来た依頼人だった。殺人事件で身代りとして自首した父親を助けて欲しい、と。沢崎が面会したい依頼人を新宿署へ送り届けた際に、 移送される依頼人の父親が肩を撃たれる現場に出くわす。沢崎が咄嗟に犯人の車に追突し命を救う。だが2発目が刑事に当たり死亡する。複雑な狙いや裏の組織に命を狙われながら、

14年前刊行作品ですが、ハードボイルド全盛期でしょうか。暴力団、警察とのつながりのある探偵像が、意外に新鮮でした。日本にもしっかりした探偵ものが存在していたのですね。淡々とした描き方が暗い闇の深さを感じさせます。今年新作が出るという寡作な作家のようです。ちょっと読んでみたいと思いました。

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22:30  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.6003)野﨑まど「ファンタジスタドール イヴ 」/廣嶋玲子「妖怪姫、婿をとる 妖怪の子預かります5」/内藤了「ゴールデン・ブラッド」/ジョー・ネスボ「ネメシス」

2018.01.15 (Mon)


(ロウバイ:満開の甘い香り:公園)

寒さはまだ身にしみます。早く地面が温かくなるといいですね。
今回は4作です。
野﨑まど「ファンタジスタドール イヴ 」
廣嶋玲子「妖怪姫、婿をとる 妖怪の子預かります5」
内藤了「ゴールデン・ブラッド」
ジョー・ネスボ「ネメシス 上・下」


「ファンタジスタドール イヴ 」大兄(おおえ)は幼少期、ミロのヴィーナスと衝撃的な出会いをした。屋敷の女中と幼い悪戯を覚えた。小学6年で難しい問題を解き「学者になる」と思い、サイエンスにのめりこみ、ひたすら勉強をする。大学3年に出会った笠野と運命の友となり、世間知らずな一面を大兄は改めて知る。大学院の研究室で、国と提携する教授のチームで収入も得るようになった。笠野は就職し、後輩の女性・中砥と組むようになる。さらに頭脳明晰な遠智(おち)も加わる。大兄は遠智に心の深部を指摘されるが、かろうじて薄膜を保っていた。研究はアメリカの国防総省の人物ともつながり、飛躍的に理論を進めていく。

掌編とも言える159ページの、濃密で深い物理の世界をかいま見せる力量に脱帽です。心の中は論理で片付けられない、皮相な結末も盛り上がります。すっかりハマって読んでいます。新作が待ち遠しいです。

「妖怪姫、婿をとる 妖怪の子預かります5」千弥と穏やかな暮らしをしている弥助は、久蔵からさらわれた許嫁の初音を取り返すのに手を貸してほしいと頼まれる。初音は妖怪だという。千弥は妖猫族の姫、王蜜の君を紹介する。初音の住む華蛇族の屋敷に忍び込んだ久蔵だったが見つかり、初音の乳母の妖怪から難問を出される。

このシリーズはあっという間に読めて、楽しいです。案外、人と妖怪の心理の裏表が見え隠れします。今作、久蔵を中心にしたのは、弥助ではネタに行き詰まりが出たせいでしょうか。それでも次作が楽しみです。

「ゴールデン・ブラッド」東京五輪プレマラソンで、自爆テロが発生。現場では新開発の人工血液が輸血に使われ、消防士の向井圭吾も多くの人命を救った。しかし同日、病気で入院していた妹が急死する。医師らの説明に納得いかず死の真相を追い始めた矢先、輸血された患者たちも次々と変死していく。

消防士で救命で活躍する向井の立ち位置が、少し都合よ過ぎる感じがありますが、医療作品としてはなかなか読ませます。次作を読みたいとまではいきませんでした。

「ネメシス 上・下」白昼オスロ中心部の銀行に強盗が押し入り、銀行員一人を射殺し金を奪って逃走した。手がかりひとつ残さない鮮やかな手口で、ハリー警部も加わった捜査チームは動き出す。新人女性刑事ベアーテは人の顔を一度見たら記憶してしまう特殊能力で期待された。だが、連続銀行強盗事件が起きてしまう。一方、かつての恋人・アンナが死体で見つかる。その前日アンナと食事をしたハリーは、記憶が跳んでいた。自殺として処理されたが、殺人と感じ真相を探り続けるハリーに、謎めいたメールが届く。アンナ殺害の容疑が降りかかり、窮地に陥る。連続銀行強盗事件の捜査が行き詰まり、ハリーはチームを離れ、独自の捜査に踏み出す。

「ネメシス」とは、ギリシャ神話の復讐の女神だそうです。登場人物と時系列が複雑で、少し読みづらかったです。もっとおもしろくできたのに。作家の問題なのでしょうか。他の作品はよかっただけに、残念です。

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(No.6001)ジョー・ウォルトン「わたしの本当の子どもたち」/野﨑まど「バビロン1-女」「バビロン2-死」「バビロン3-終」

2018.01.06 (Sat)


(紅梅"守の関":そろそろさいている頃でしょうか:公園)

ほぼ日常が戻りました。今年はどれくらいの作家と出会い、作品を読めるでしょうか。
今回は4作です。
ジョー・ウォルトン「わたしの本当の子どもたち」
野﨑まど「バビロン1-女」
    「バビロン2-死」
    「バビロン3-終」


「わたしの本当の子どもたち」パトリシアは「パティ」と呼ばれオックスフォードで学び、ケンブリッジ中等学校の教師となった。マークとの婚約を破棄されても後悔はなく、ボート乗りや美術館巡り、新しい生活を楽しんでいく。やがてガイドブックの執筆で身を立てていき、ビイという女性と恋に落ち一緒に暮らし始める。一方でマークと結婚したものの、「トリシア」と呼ばれ愛のない子育てと家事の多忙で鬱々とした暮らしを続ける。成長した子どもたちに助けられながら、補助教員になり自分の道を歩き出す。パトリシアの世界は、若き日の決断を境にふたつに分岐した。並行して語られるまったく異なるふたつの人生で、別の喜び、悲しみ、そして子どもたち。どちらの世界が「真実」なのだろうか。

「もし、あのとき別の選択をしていたら」誰もが一度は考えることです。介護施設にいるパトリシアの記憶として書かれるふたつの物語は、時代の不自由さと戦い、必死に生き抜いた女性です。どちらの道も若いときには大切で感情を揺さぶられる人生ですが、厳しく険しい老後が、切なくやりきれなさを強調しています。うまい作家ですね。

「バビロン1-女」東京地検特捜部検事・正崎は、立ち会い事務官・文緒とともに、製薬会社日本スピリと国内4大学が関与した臨床研究不正事件を追っていた。その捜査で正崎は麻酔科医が残した異様な書面と死体を発見する。さらに超都市構想「新域」を巡る政界に繋がる男を追うが、文緒が殺されてしまう。政治の裏に暗躍する陰謀と、それを操る大物政治家の存在に気がつくが、謎の女・曲世(まがせ)愛に阻まれる。

久々の野崎氏の作品は芯はそのままに、すっかり変貌していました。SF設定ではあるものの、しっかりとしたミステリです。展開のスピード感、無駄を削ぎ落とした構成、キャラ立ちしたストーリーは興味深いです。一気に読ませてくれます。このシリーズを読みたいと思います。

「バビロン2-死」64人の同時飛び降り自殺。超都市構想「新域」域長・齋(いつき)開化による、自死の権利を認める「自殺法」宣言直後に発生した。暴走する齋の行方を追い、東京地検特捜部検事・正崎を筆頭に、法務省・検察庁・警視庁をまたいだ、機密捜査班が組織される。人々に拡散し始める死への誘惑。鍵を握る謎の女・曲世(まがせ)愛の影。

キャラ立ちもよかったです。組織と個人名の説明が長く、入りに工夫がほしかったです。裏組織で貫こうとする、正崎の正義とはなんだろうと考えさせられます。正崎が自分の無力を内に蓄積していきます。齋より曲世の存在に力をいれている気がします。SFとは言え、バタバタと死者が出ているのにあまりにも感情がなさ過ぎます。もっともそれがスピード感のある展開に繋がるのですが。おもしろいです。

「バビロン3-終」日本の「新域」で発令された、自死の権利を認める「自殺法」に追随する都市が次々に出現。各国首脳が生と死について語り合うG7が、映像と通話方式で開催された。ホワイトハウスの特別室で、通信管理をする。その同時期に「新域自殺サミット」が開かれる。東京地検を辞めた正崎は、合衆国のFBI捜査官として活動を始めていた。何かが起きると予測し、見守る映像に曲世(まがせ)と思われる女の姿が出ると、大統領に異変が起きる。

世界各地に飛び火していく「自殺法」容認都市が、現象として怖いです。G7会議の首脳、通訳者、通信管理者の人物像に多くのページが使われていて、底流がなかなか見えない「新域」の動きが不気味です。煽りを抑える描き方が秀逸です。硬筆な文体も好きです。曲世の力のすごさを見せつけ、次回作に期待させてくれます。サブタイトルに「終」とありますが、まだ物語は中盤にもかかっていません。シリーズを早く読みたいです。

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20:00  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.6000)  読書の1年を振返って

2017.12.29 (Fri)



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(ラナンキュラス:淡い姿にひと目惚れ。お持ち帰りしました:ベランダ)

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(霜柱:住宅地より寒い、駅裏公園は足元でザクザクと音を楽しめます:市内)

いよいよ年末です。
特別なこともせず、故郷から送られてきたセリがお雑煮と鍋物にうれしいです。
読んで感想を書いた本は、後半追い上げて68作でした。37作は日本の作家で、31作が海外作家でした。おもしろい作家との出会いがあると追っかけていくのは、わたしの読み方のようです。
2000年12月からHP、2006年2月からブログ、2012年11月からツイッターを組み込んできました。
読書感想総数は1,725作。17年もよく続けてきたものだと思います。波はありますが、読書と縁が切れるまでは続けていきたいと考えています。

コンサート。声楽の練習と発表。羽生結弦選手の応援。花の撮影。やりたいことと体力と時間とのバランスを保ち、細く長く続けていけたらいいですね。筋力の衰えを感じ、再びウォーキング始めています。

世界の端っこで、ほそぼそとつぶやいている発信を見ていただきありがとうございます。よいお年をお迎えください。
世界中の子どもたちに平和が訪れますように!

18:06  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.5999)M・ヨート&H・ローセンフェルト「少女 犯罪心理捜査官セバスチャン」/R・D・ウィングフィールド「フロスト始末」/木内一裕「アウト&アウト」「バードドッグ」

2017.12.22 (Fri)

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(寒椿:寒い寒い冬の日射しに咲くけなげさ:市内)

羽生結弦選手が怪我から回復し、平昌五輪で花を咲かせますように!笑顔の滑りが見たい。それだけを思っています。全日本選手権大会が始まりました。応援していながら、すきま風が吹き抜けています(ロス重症)

今回は4作です。
M・ヨート&H・ローセンフェルト「少女 犯罪心理捜査官セバスチャン 上・下」
R・D・ウィングフィールド「フロスト始末 上・下」
木内一裕「アウト&アウト」
    「バードドッグ」


「少女 犯罪心理捜査官セバスチャン」一家4人が散弾銃によって殺された。近隣トラブルのあった男が逮捕されたが、証拠がなく保釈される。市長の夫で警部は、トルケル率いる国家刑事警察殺人捜査特別班を呼んだ。血痕を踏んだ小さな足跡から、現場を見たかもしれない少女ニコルにたどり着く。森の岩壁に入り込み隠れ心を閉ざすニコル。セバスチャンは少しづつニコルの心を開かせていく。ヴァニャは父母の裏切りに悩み、セバスチャンとのつかの間の安らぎを求めるが。

企業の土地買収や市政と広がりを見せつつ、繊細な少女の心を繋ぐ心理や、刑事たちのさまざまな思いや行動を網羅していきます。人の信頼や裏切られた思いが交叉する描き方が、じつにうまいです。犯人の気持ちと、それを利用しようとする人物も存在感があります。おもしろいです。ラストでまた次作への期待をかき立ててくれます。次作は本国で2015年に発刊されたと言うことですから、そろそろ翻訳が完成する頃でしょうか。発売が待ち遠しいです。

「フロスト始末」フロスト警部はヘマが招いた事態とはいえ、マレット署長や新任の主任警部に他署に追い出される崖っぷちに立たされる。残る日々も容赦なく起き続ける少女失踪・強姦殺人・脅迫・と、次々起こる厄介な事件に時間を取られ、眠ることもできない。報道陣や警察の見守る中、活躍ぶりを見せようと主任警部は立てこもり犯を撃とうとするが。

次から次へと事件が起き過ぎだろうという盛りだくさんの内容です。別れた妻との感傷にひたる時間もなく、下品なジョークも忘れないタフなフロストに、ただただ頑張れと声援を送りたくなります。どしゃ降りの雨の中の張り込みの冷たさや、死体の臭気までもが伝わってきそうです。遺作となります。もっと読みたかったなと思う惜しい作家です。

「アウト&アウト」探偵見習いで元ヤクザの矢能が呼び出された先で出くわしたのは、依頼主の死体だった。妙な覆面を被った犯人の若い男は、銃に矢能の指紋を付けさせ窮地に追い込まれる。預かって同居している少女・栞の身にも危険が迫る。

深刻な状況やストリーにも関わらず、どこかユーモラスでスピード感のある展開でおもしろく読めました。複雑な人間関係の処理もうまいです。柔道やヤクザ組織の気負った名シーンも、軽く足下をすくってしまいます。あとに何も残らないのが、よくもあり悪しくもありでしょうか。

「バードドッグ」日本最大の暴力団、菱口組系の組長が姿を消した。殺されているのは確実だが警察には届けられない。調査を依頼された元ヤクザの探偵・矢能。容疑者は動機充分のヤクザ達。内部犯行か抗争か。だが同じ頃、失踪に関わる一人の主婦も行方不明になっていることが発覚する。最も危険な探偵の、物騒な推理が始まる。

ヤクザから堅気になろうとしても、難題を持ちかけられ辛うじて探偵として動きます。養女・栞のためにその意志を貫く難しさと、愛情を感じていく矢能。明晰な頭脳と、感情に流されない論理的な行動が魅力です。スピード感が心地いいです。ラストの泣かせどころを忘れず入れる、作家プロ根性はしたたかです。

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