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(No.5990)福間洸太郎ピアノリサイタル〜『鳳凰がみたもの』〜

2017.10.12 (Thu)


(コスモス;日射しがうれしいと言ってます:公園)

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福間洸太郎ピアノリサイタル〜『鳳凰がみたもの』〜(サントリーホール)を聴いてきました。
ホール改修後初めてです。化粧室までの階段がスロープになり、シャンデリアが現代的なものに変わってきれいです。水飲み器が高さの違う2台もうれしいです。

正装に黒シャツで登場すると静まり返った空間に、ソフトな1音が響きます。繊細な音のつらなりから引き込まれていきます。ソナタ3番で、なにか胸が一杯になります。冷血人間のわたしの心が揺れています。
暑過ぎたのでしょう。二部は上着を脱いでいらっしゃいました。ラフマニノフを聴きながら、俯瞰図で人間の営みや感情を感じていました。スクリャービンの激しく超難度の曲が想像を絶する集中力でやすやすと繰り広げられます。「火の鳥」の弾き初めへの集中の仕方がすごいです。熱い熱い炎が天上を飛び交います。これで終わらせてほしいと思うほどの熱演です。ブラボー!スタンディングオベーションがすごい!

アンコール2曲は指を休ませる印象。そしてショパン:バラード第1番は、ゆづくんへのエールも感じ取りました。美しくも激しい情熱を秘めた長い曲をアンコールに持ってくるとは。すごい体力と精神力です。連日のコンサートを、追っかけて聴いてみたい衝動に駆られます。聴く体力もないのに。

-----プログラム-----
リスト:オーベルマンの谷「巡礼の年第1年スイス」より
ショパン:ソナタ第3番ロ短調op.58

ラフマニノフ:前奏曲嬰ハ短調 op.3-2『鐘』
:13の前奏曲 op.32より第12番ト単調
            第13番変ニ長調
スクリャービン:ソナタ第5番op.53
ストラヴィンスキー:火の鳥(アゴスティ編曲)
-----アンコール-----
徳山美奈子:flyig birds
クロード・ダカン:クラブサン曲集第1巻第3組曲より「かっこう」
ショパン:バラード第1番ト短調op.23
09:39  |  音楽  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.5989)垣谷美雨「七十歳死亡法案、可決」/グレン・エリック・ハミルトン「眠る狼」/橘 玲「タックスへイヴン」/レベッカ・キャントレル「この世界の下に」/古川日出男「平家物語 犬王の巻」

2017.10.10 (Tue)

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(コスモス:青空に映えて美しい:公園)



読書の秋の影響でしょうか。
読み始めると止められなくなります。困った性格ですね。
今回は5作です。
垣谷美雨「七十歳死亡法案、可決」
グレン・エリック・ハミルトン「眠る狼」
橘 玲「タックスへイヴン」
レベッカ・キャントレル「この世界の下に」
古川日出男「平家物語 犬王の巻」


「七十歳死亡法案、可決」高齢者が国民の3割を超え、破綻寸前の日本政府は「70歳死亡法案」を強行採決。施行まで二年、東洋子は喜びを噛み締めていた。我侭放題の義母の介護に追われた15年間。自分勝手な夫、引きこもりの息子、無関心な娘。ようやく義母の介護から解放される喜びが、思わぬ方向に進む。早期退職し、夫は友人と世界一周旅行に行くと。

国民が自主的に年金返上、子どもたちへの寄附、医療費全額負担宣言、ボランティアなどの自然発生的なシステムができていくのがいいですね。仕掛人もいて、ほくそ笑んでいます。かつてのキャリアを忘れていた東洋子が、家を出て仕事を始めると、家族が変わっていきます。笑って読ませる早い展開と、法案のラストがありそうでおもしろいです。

「眠る狼」郷を離れ陸軍で海外勤務についていたバンに、長い間音沙汰の無かった祖父から手紙が届いた。ベテランのプロの泥棒である祖父の弱気な言葉に胸が騒いだ彼は、休暇をとって帰郷する。だが10年ぶりの家に着くと、頭に銃撃を受けた祖父が倒れていた。人事不省の祖父に問うことも出来ないバンは、手掛かりを求め旧知の仲である祖父の仕事仲間に協力を仰ぐ。どうやら祖父は最後の大仕事を行なっていたらしい。

現在と少年時代を交叉させた、硬派なの語り口がいいですね。引き込まれます。次第に明らかになる祖父の意図が、思いがけない展開をしていきます。アクション、謎解き、家族、仲間、盛りだくさんなおもしろさを、うまくまとめています。次の作品も読みたいです。

「タックスへイヴン」東南アジアでもっとも成功した金融マネージャー北川が、シンガポールのホテルで転落死した。自殺か他殺か。同時に名門スイス銀行の山之辺が失踪、1000億円が消えた。金融洗浄、ODA、原発輸出、仕手株集団、暗躍する政治家とヤクザ。東南アジアから北の国まで関わっていた。名門銀行が絶対に知られたくない秘密、そしてすべてを操る「トカゲ」と呼ばれる男の暗躍。北川の高校の同級生・古波蔵と牧島と紫帆が再会し、真相を突き止めようと動き出す。

頭脳明晰で鍛えた格闘能力を備えた古波蔵は、少し類型的なキャラになっているのが惜しいです。必要な役割ではありますが。金融、政治がいかにお金に動き動かされ支配しているかを、改めて認識させられました。確かにいまの世界情勢が映し出されていて、おもしろいです。牧島と紫帆の恋愛感情はこそばゆく、牧島の仕事キャラを矮小化して惜しいです。

「この世界の下に」ソフトウェア開発で億万長者になったジョーは、前触れもなく広場恐怖症になった。外に出られなくなり、ニューヨークの地下グランド・セントラル駅の下にある屋敷で暮らす。介助犬エジソンとともに地下鉄の線路沿いに日課の散歩に出たジョーは、煉瓦の壁にハンマーを叩きつける男と遭遇する。崩れた壁の中には古い白骨が現れる。だが男はまだなにかを探し、殺害される。広場恐怖症のジョーは警察に容疑をかけられ、エジソンと一緒に張り巡らされた地下鉄道や抜け道を駆使してひたすら逃げる。

地上に出られないジョーを、よく地下だけで冒険させるものです。理性的思考とパニック思考との落差がユーモラスです。過去のウィルス殺人兵器の使い方もうまいです。個人的には殺し請負人のオザンがカッコいいキャラクタが好きです。映画のような楽しみを味わえる作品です。

「平家物語 犬王の巻」時は室町。京で世阿弥と人気を二分した天衣無縫の能楽師・犬王と、盲いた琵琶法師・友魚。2人の友情が生まれる。だが犬王は怨念により醜い姿で生まれ、面を付け体をおおって生きてきた。醜いものを包み隠し、兄たちの歩行術を盗み見して稽古をすると、素足になりたいきれいな足になった。友魚の語りは平家の新たな物語とともに犬王を語り、聴衆を歓喜させた。

久しぶりの古川氏の作品です。歴史物をこのように描き切るのかという、驚きがありました。実に簡潔にテンポよく、能楽のおもしろさが伝わってきます。時代の空気も味わえます。本編の「平家物語」も読んでみたいところですが、900ページ情報にためらいます。一気に読ませられるのはわかっている作家だけに、迷います。

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪
08:34  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.5988) エフゲニ・ボジャノフ ピアノリサイタル

2017.10.08 (Sun)


(シュウメイギク八重咲き:かわいらしいたたずまいにひとめぼれ。お持ち帰り:ベランダ)

エフゲニ・ボジャノフ ピアノリサイタル(浜離宮朝日ホール)を聴いてきました。
長身でスレンダーでクールなピアニストです。ピアノはスタンウェイ。持ち歩く自分用の「FAZIOLLI」の椅子は低く、それで体をコントロールしているそうです。最初の一音がピアニッシモかという繊細さで始まり、すべての音がシルクのベールを転がっていきます。一瞬の空白もない、割れのない、みごとな指さばきで、彼の音楽世界に引き込まれました。口元で歌っているような余裕、音楽を自身も楽しんでいる印象です。ここまで構えや力みのない滑らかな演奏は初めてでした。濃厚な彼にしかできない音楽世界にひたっていました。
ベートーヴェンは、こんな柔らかに弾く曲だったのか。他の曲もすべて彼の色に染まるのです。終わってから、ふと我に返ると多少の疑問が浮かびました。魔法にかかるとクセになりますが、冷めたいわたしは、またコンサートに足を運ぶかは微妙です。音楽に求めるものや、受け取るそれぞれの感性が違いますから。
それにしてもホールまで1時間半は遠いな〜。

-----プログラム-----
ベートーヴェン:ピアノソナタ第18 変ホ長調  31-3「狩」
               14番嬰ハ短調Op.27-2「月光」
ラヴェル:ラ・ヴァルス
シューベルト:ピアノソナタ第21番変ロ長調D.960
-----アンコール-----
ラフマニノフ:組曲第1番「幻想的絵画」より「舟歌」
リスト:コンソレーション第3番
08:45  |  音楽  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
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