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(No.5993)  松田華音ピアノリサイタルを聴いて

2017.10.31 (Tue)



松田華音ピアノリサイタル(オペラシティホール)を聴いてきました。
音質が重くて好みではなかったのですが、生で聴いて一層その思いを深めました。しっかりとした音楽世界を構築できています。まるでロシアの冬の世界に閉じ込めたような音は、音楽学校の指導なのでしょう。その中でもピアノが歌っている箇所があり、解放してほしいなと思います。まだ20歳ですから、師事して得た個性を通すのも、自由なピアノを選択するのも本人の考えですから期待したいです。

-----プログラム-----
チャイコフスキー:リスト編:ポロネーズ〜「アフゲニー・オネーギン」
プロコフィエフ:「ロミオとジュリエット」より10の小品op.75

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」第1曲〜第10曲
-----アンコール-----
ムソルグスキー:古典様式による間奏曲
パッヘルベル:藤萬健編曲:カノン
09:19  |  音楽  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.5992)ロジャー・ホッブズ「消滅遊戯 ゴーストマン2」/ロバート・クレイス「約束」/橘 玲「マネーロンダリング」「ダブルマリッジ」

2017.10.23 (Mon)


(テイカカズラ:返り咲きのいとおしさ:市内)

台風は深夜3時頃強風と豪雨で目を覚まさせ、市内は大きな被害もなく通り過ぎてくれました。
強風はまだ吹き荒れています。明日には止むでしょうか。

今回は4作です。
ロジャー・ホッブズ「消滅遊戯 ゴーストマン2」
ロバート・クレイス「約束」
橘 玲「マネーロンダリング」「ダブルマリッジ」


「消滅遊戯 ゴーストマン2」アンジェラから秘かなメールが6年ぶりに私に届いた。本物の彼女なのか。犯罪のプロとしての心得を私に教えた師匠だったアンジェラがマカオで危機に晒されている。彼女を救い出すため、数冊のパスポート、いくつもの偽名、数台の携帯電話を持ち、マカオに向かう。待っていたのは香港を牛耳っている大組織だった。アンジェラは宝石とともに、とんでもないものを捌こうとしていた。

綿密なトラップや殺戮を冷静な文体で描いているのは、1作目と同様です。目の動きひとつの繊細さと、切れ味のいい太刀を使い分けみごとなエンディングまで、一気に読ませます。犯罪組織の深い谷を覗いてしまった怖さと、人間は見たいと思うものを選んで見るのであり、真実とはいかに遠い立ち位置にいるかを改めて思い知らされます。2作で亡くなったとは惜しい作家です。

「約束」ロス市警警察犬隊スコット巡査と相棒のシェパード・マギーは、逃亡中の殺人犯を捜索していた。マギーが発見した家の中には、容疑者らしい男が倒れており、さらに大量の爆発物が見つかった。同じ住宅街で私立探偵のコールは、失踪した会社の同僚を探す女性の依頼を受けて調査をしていた。幾重にも重なる偽りの下に眠る真実。

警察犬と巡査の強い信頼の物語と、コールと相棒・パイクの二つのストーリーがうまく絡み合っています。一気に読ませるのはさすがです。警察物のおもしろさを楽しめます。

「マネーロンダリング」香港在住の工藤秋生34歳。日本人を相手にオフショア関連のアドバイザーをやっている。かつて都市銀行、ニューヨークの投資銀行、ヘッジファンド運用会社を経て、金には困らないが暇つぶしでしていることだった。若林麗子と名乗るゴージャスな美人が現れ、オフショア会社、オフショア銀行、私書箱サービスを利用したスキームを提案。だが黒木が現れ、麗子は黒木が関係する50億円を日本から送金し、そのまま行方をくらましているという。秋生は自分がとんでもない深みにはまったことを知る。 日本と香港を行き来し全容を知った。50億円を巡り、人は人生を狂わせていく。

暮らしには困っていず、特にやりたいこともない秋生のキャラ設定が、全体に現実感の薄さを出しているのかも知れません。マネーロンダリングのやり方も、いまはもっと進化しているので、15年前の作品として読みました。人の本質を見抜く力は誰にでもあるわけではないのです。欲のない秋生には、必死な麗子に先を越されてしまうのです。しっかり調べて描いている点は評価できます。おもしろく読めますが、もうひとつ人間の深さがほしい印象です。

「ダブルマリッジ」大手商社のエリート社員、桂木憲一は、妻、大学生の娘マリと幸せな家庭を築いていた。が、パスポート更新のために、戸籍謄本を取り寄せると、妻の里美と並んで「マリア・ロペス」というフィリピン人女性の名が書かれていた。憲一は20年前マニラ赴任中に、マリアと結婚式を挙げながら一人で帰国したままだった。役所はマリアからフィリピンの婚姻証明書が送られてきたから記載したという。さらに数日後、自宅に一通の封書が届く。妻が確認すると新たな戸籍謄本で、「長男」として「ケン」という名が書かれていた。

仕事優先で暮らしてきた憲一は、妻から離婚を切り出されてしまいます。憲一は、遺産分割も考え弁護士に相談し、フィリピンにマリアを探しにいきます。行動的なマリは友人を介して日本でケンを探そうとします。潔い娘と対照的に、決断を先延ばしする憲一にいらいらして読みました。思いと金が交錯してラストに向かいますが、少し安易な終わり方だと思いました。

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪
17:05  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.5991)ロステレコム杯 羽生選手2位        五輪後も現役 4アクセルも

2017.10.22 (Sun)

台風接近で強い雨が降っています。明日の朝がピークになるようです。
昨日の市役所分所は期日前投票で、フロアが満員電車並みの混雑でした。時間内に投票できたでしょうか。

ロステレコム杯のショートで、4ループの回転不足、4サルコー+3トゥループで転倒しました。それでもリカバリージャンプや演技の質を上げて2位につけました。ネイサン・チェンが1位です。
フリーで初の4ルッツを成功させました。そのあとの4ループは3で押さえ、他はきれいに決めました。4Tが2Tになる若干のミスはあるものの、フリーでは1位に。総合ではネイサン・チェンが1位です。

3年前からハーネスを着けて練習を重ねているのを知っていたので、全力で行くという言葉でオリンピックシーズンでやると思っていました。練習で成功しても試合で成功できるかは別問題です。今回は成功し、構成全体への影響を体感する狙いがあったと思います。チームとしての戦略でしょう。ぎっちりと詰め込んだ構成の各演技をこなす体力もいままでとは、全く違って見えました。

エキシビションは、「Notte Stellata (The Swan) 」の美しさ、やわらかさと、強い希望、あるいは意志をも感じさせ余韻をのこしました。終了後のインタビューで、五輪後も現役を明言しました。うれしい発言です。さらにまだ限界ではなく、4回転アクセルも跳びたいと。どこまでも挑戦する姿勢が好きです。そしてフィナーレでの楽しそうに金色テープと戯れるかわいさ。これがゆづくんです。

次は11月10日からのNHK杯です。そのあと全日本大会、12月はGPファイナル、2月は平昌五輪が待っています。怪我なく風邪を引かず、目標としている高みまで演技ができるよう、応援していきます。


(ショート「ショパン:バラード第1番」より:写真はお借りしました)

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(フリー「陰陽師」より「SEIMEI」)

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(フィナーレ:エキシビ「Notte Stellata」衣装で、金テープに笑顔)
09:38  |  スポーツ  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.5990)福間洸太郎ピアノリサイタル〜『鳳凰がみたもの』〜

2017.10.12 (Thu)


(コスモス;日射しがうれしいと言ってます:公園)

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福間洸太郎ピアノリサイタル〜『鳳凰がみたもの』〜(サントリーホール)を聴いてきました。
ホール改修後初めてです。化粧室までの階段がスロープになり、シャンデリアが現代的なものに変わってきれいです。水飲み器が高さの違う2台もうれしいです。

正装に黒シャツで登場すると静まり返った空間に、ソフトな1音が響きます。繊細な音のつらなりから引き込まれていきます。ソナタ3番で、なにか胸が一杯になります。冷血人間のわたしの心が揺れています。
暑過ぎたのでしょう。二部は上着を脱いでいらっしゃいました。ラフマニノフを聴きながら、俯瞰図で人間の営みや感情を感じていました。スクリャービンの激しく超難度の曲が想像を絶する集中力でやすやすと繰り広げられます。「火の鳥」の弾き初めへの集中の仕方がすごいです。熱い熱い炎が天上を飛び交います。これで終わらせてほしいと思うほどの熱演です。ブラボー!スタンディングオベーションがすごい!

アンコール2曲は指を休ませる印象。そしてショパン:バラード第1番は、ゆづくんへのエールも感じ取りました。美しくも激しい情熱を秘めた長い曲をアンコールに持ってくるとは。すごい体力と精神力です。連日のコンサートを、追っかけて聴いてみたい衝動に駆られます。聴く体力もないのに。

-----プログラム-----
リスト:オーベルマンの谷「巡礼の年第1年スイス」より
ショパン:ソナタ第3番ロ短調op.58

ラフマニノフ:前奏曲嬰ハ短調 op.3-2『鐘』
:13の前奏曲 op.32より第12番ト単調
            第13番変ニ長調
スクリャービン:ソナタ第5番op.53
ストラヴィンスキー:火の鳥(アゴスティ編曲)
-----アンコール-----
徳山美奈子:flyig birds
クロード・ダカン:クラブサン曲集第1巻第3組曲より「かっこう」
ショパン:バラード第1番ト短調op.23
09:39  |  音楽  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.5989)垣谷美雨「七十歳死亡法案、可決」/グレン・エリック・ハミルトン「眠る狼」/橘 玲「タックスへイヴン」/レベッカ・キャントレル「この世界の下に」/古川日出男「平家物語 犬王の巻」

2017.10.10 (Tue)

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(コスモス:青空に映えて美しい:公園)



読書の秋の影響でしょうか。
読み始めると止められなくなります。困った性格ですね。
今回は5作です。
垣谷美雨「七十歳死亡法案、可決」
グレン・エリック・ハミルトン「眠る狼」
橘 玲「タックスへイヴン」
レベッカ・キャントレル「この世界の下に」
古川日出男「平家物語 犬王の巻」


「七十歳死亡法案、可決」高齢者が国民の3割を超え、破綻寸前の日本政府は「70歳死亡法案」を強行採決。施行まで二年、東洋子は喜びを噛み締めていた。我侭放題の義母の介護に追われた15年間。自分勝手な夫、引きこもりの息子、無関心な娘。ようやく義母の介護から解放される喜びが、思わぬ方向に進む。早期退職し、夫は友人と世界一周旅行に行くと。

国民が自主的に年金返上、子どもたちへの寄附、医療費全額負担宣言、ボランティアなどの自然発生的なシステムができていくのがいいですね。仕掛人もいて、ほくそ笑んでいます。かつてのキャリアを忘れていた東洋子が、家を出て仕事を始めると、家族が変わっていきます。笑って読ませる早い展開と、法案のラストがありそうでおもしろいです。

「眠る狼」郷を離れ陸軍で海外勤務についていたバンに、長い間音沙汰の無かった祖父から手紙が届いた。ベテランのプロの泥棒である祖父の弱気な言葉に胸が騒いだ彼は、休暇をとって帰郷する。だが10年ぶりの家に着くと、頭に銃撃を受けた祖父が倒れていた。人事不省の祖父に問うことも出来ないバンは、手掛かりを求め旧知の仲である祖父の仕事仲間に協力を仰ぐ。どうやら祖父は最後の大仕事を行なっていたらしい。

現在と少年時代を交叉させた、硬派なの語り口がいいですね。引き込まれます。次第に明らかになる祖父の意図が、思いがけない展開をしていきます。アクション、謎解き、家族、仲間、盛りだくさんなおもしろさを、うまくまとめています。次の作品も読みたいです。

「タックスへイヴン」東南アジアでもっとも成功した金融マネージャー北川が、シンガポールのホテルで転落死した。自殺か他殺か。同時に名門スイス銀行の山之辺が失踪、1000億円が消えた。金融洗浄、ODA、原発輸出、仕手株集団、暗躍する政治家とヤクザ。東南アジアから北の国まで関わっていた。名門銀行が絶対に知られたくない秘密、そしてすべてを操る「トカゲ」と呼ばれる男の暗躍。北川の高校の同級生・古波蔵と牧島と紫帆が再会し、真相を突き止めようと動き出す。

頭脳明晰で鍛えた格闘能力を備えた古波蔵は、少し類型的なキャラになっているのが惜しいです。必要な役割ではありますが。金融、政治がいかにお金に動き動かされ支配しているかを、改めて認識させられました。確かにいまの世界情勢が映し出されていて、おもしろいです。牧島と紫帆の恋愛感情はこそばゆく、牧島の仕事キャラを矮小化して惜しいです。

「この世界の下に」ソフトウェア開発で億万長者になったジョーは、前触れもなく広場恐怖症になった。外に出られなくなり、ニューヨークの地下グランド・セントラル駅の下にある屋敷で暮らす。介助犬エジソンとともに地下鉄の線路沿いに日課の散歩に出たジョーは、煉瓦の壁にハンマーを叩きつける男と遭遇する。崩れた壁の中には古い白骨が現れる。だが男はまだなにかを探し、殺害される。広場恐怖症のジョーは警察に容疑をかけられ、エジソンと一緒に張り巡らされた地下鉄道や抜け道を駆使してひたすら逃げる。

地上に出られないジョーを、よく地下だけで冒険させるものです。理性的思考とパニック思考との落差がユーモラスです。過去のウィルス殺人兵器の使い方もうまいです。個人的には殺し請負人のオザンがカッコいいキャラクタが好きです。映画のような楽しみを味わえる作品です。

「平家物語 犬王の巻」時は室町。京で世阿弥と人気を二分した天衣無縫の能楽師・犬王と、盲いた琵琶法師・友魚。2人の友情が生まれる。だが犬王は怨念により醜い姿で生まれ、面を付け体をおおって生きてきた。醜いものを包み隠し、兄たちの歩行術を盗み見して稽古をすると、素足になりたいきれいな足になった。友魚の語りは平家の新たな物語とともに犬王を語り、聴衆を歓喜させた。

久しぶりの古川氏の作品です。歴史物をこのように描き切るのかという、驚きがありました。実に簡潔にテンポよく、能楽のおもしろさが伝わってきます。時代の空気も味わえます。本編の「平家物語」も読んでみたいところですが、900ページ情報にためらいます。一気に読ませられるのはわかっている作家だけに、迷います。

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08:34  |   |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

(No.5988) エフゲニ・ボジャノフ ピアノリサイタル

2017.10.08 (Sun)


(シュウメイギク八重咲き:かわいらしいたたずまいにひとめぼれ。お持ち帰り:ベランダ)

エフゲニ・ボジャノフ ピアノリサイタル(浜離宮朝日ホール)を聴いてきました。
長身でスレンダーでクールなピアニストです。ピアノはスタンウェイ。持ち歩く自分用の「FAZIOLLI」の椅子は低く、それで体をコントロールしているそうです。最初の一音がピアニッシモかという繊細さで始まり、すべての音がシルクのベールを転がっていきます。一瞬の空白もない、割れのない、みごとな指さばきで、彼の音楽世界に引き込まれました。口元で歌っているような余裕、音楽を自身も楽しんでいる印象です。ここまで構えや力みのない滑らかな演奏は初めてでした。濃厚な彼にしかできない音楽世界にひたっていました。
ベートーヴェンは、こんな柔らかに弾く曲だったのか。他の曲もすべて彼の色に染まるのです。終わってから、ふと我に返ると多少の疑問が浮かびました。魔法にかかるとクセになりますが、冷めたいわたしは、またコンサートに足を運ぶかは微妙です。音楽に求めるものや、受け取るそれぞれの感性が違いますから。
それにしてもホールまで1時間半は遠いな〜。

-----プログラム-----
ベートーヴェン:ピアノソナタ第18 変ホ長調  31-3「狩」
               14番嬰ハ短調Op.27-2「月光」
ラヴェル:ラ・ヴァルス
シューベルト:ピアノソナタ第21番変ロ長調D.960
-----アンコール-----
ラフマニノフ:組曲第1番「幻想的絵画」より「舟歌」
リスト:コンソレーション第3番
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