2017年08月 / 07月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫09月

(No.3289)  ガブリエル・リプキン チェロ・リサイタル

2010.06.18 (Fri)



ガブリエル・リプキン チェロ・リサイタル:ロマン・ザスラフスキー(ピアノ) :トッパンホール

ガブリエル・リプキン チェロ・リサイタルを聴いてきました。
飯田橋のトッパンホールは、初会場です。ホールの反響板はもちろん、フロアや壁、階段も高品質の木材が使われた美しい会場です。ロビーや廊下の大きな丸窓も印象的です。

ベートーベンの2曲は、よく聴くおなじみの軽めの曲です。チェロの音の美しさを最高に引き出そうとしているのが伝わってきます。
3曲目のブラームスがとてもよかったです。音楽の中に没頭し、全身全霊でチェロで音楽を創りだしていこうとしているようでした。 音楽の美しさを率直に表現し、音に深みがあります。リズム感覚がとてもよく、思わず体を動かしてリズムを取ってしまったほどです。イスラエルという国のことはよく知らないのですが、ふっと民族的な切迫した哀しみの断片が、胸に突き刺さります。才能があり過ぎ、迷い、そこから突き抜けた演奏という感じがします。
演奏のはずみで弓の糸が切れて、合間にプチプチ千切るのが妙に好きだったりします。

アンコールのブリテンとショスタコービッチでは、精悍な力強さが前面に出て、ダイナミックでいながら、繊細さをもった奏法がすばらしいです。ピッチカートも独特です。 長髪が顔を覆ってしまうほどの熱演で、現代音楽も似合うのではないかと思いました。息漏れのような呼吸音が後ろの席でも聞こえました。ジャズのキース・ジャレットに共通するものを感じます。

エンドピン(チェロを床に支える棒)が、とてもおもしろい曲線になっていました。トルトゥリエのピンとも違うのです。調べてみると「金属で作ったエンドピンを曲げて自分が座るイスにつながるようにしている。音が自分の体を通って巡回するように。定まったポジションで弾くのではなく、常に音が有機的に回るのを自分の体で感じたい」という考えから使っているそうです。

上品な紳士・フルニエ。剛胆な教育者・ロストロ・ポーヴィッチ。スペインの風の匂いがするカザルス。気迫のシュタルケル。どうしても中国的なヨーヨー・マ。などなど。CDや演奏会で聴いた誰とも違う個性的な、リプキンの演奏会でした。聴き手の欲を言えば、愛がほしかったという印象が残りました。でも、次の演奏会もたぶん足を運ぶことになりそうです。

ベートーヴェン:ヘンデルの「ユダ・マカベア」の「見よ勇者は帰る」の主題による12の変奏曲 ト長調 WoO45
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番 イ長調 Op.69
ブラームス:チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 Op.38
--------アンコール-----------
ブリテン チェロ・ソナタハ長調Op.65
ショスタコービッチ チェロ・ソナタ ニ短調 Op.40スケルツォ

(写真:キンシバイ=金糸梅:小さめの花がうつむいて咲く、ヒペリカムです:公園)
関連記事
21:29  |  音楽  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

*Comment

コメントを投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除するのに必要
SECRET  管理者だけにコメントを表示
 
 | BLOGTOP |