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(No.4094)  中山七里「贖罪の奏鳴曲」/新城カズマ「サマー/タイム/トラベラー-2」/高野和明「ジェノサイド」

2012.02.26 (Sun)



晴れの予報でしたが、朝からどんよりとした曇り空です。
半日出勤の昨日は雨でしたし、ちょっと憂鬱になりました。まだ春は遠いようです。

先週の3作。
中山七里「贖罪の奏鳴曲」
新城カズマ「サマー/タイム/トラベラー-2」
高野和明「ジェノサイド」


中山さん。水死体を調べた警察は、弁護士・御子柴に辿りつきますが、死亡推定時刻は法廷にいた「鉄壁のアリバイ」があります。御子柴は保険金殺人事件の弁護のため、製材所を訪れます。仕事を引き継いでいる息子は、わずかに片手の指だけが動く重度の障害者でケータイで会話をしていました。刑事たちは、金に汚いと言われる一方で損な国選弁護人を引き受ける御子柴の、過去を洗い出していきます。
どしゃ降りの中、死体遺棄のシーンから始まります。あちこちに巧みに伏線が張られ、御子柴の心情や思考を描き出すことで、なかなか見えない全体像を更に複雑にしていきます。相手の心理を見抜く目や、裁判シーンでの検察や裁判官の表情と心理が、抜群におもしろいです。ミステリ要素も、読者をミス・リードする仕掛けもおもしろいです。

新城さん。「プロジェクト」を通して、時空間跳躍能力のコントロールできる練習をする悠有に、謎の脅迫状が届きます。涼、コージン、饗子それぞれの想いが交錯し、卓人は不安に囚われていき、花火大会の夜、悠有は姿を消します。散りばめられた伏線が、後半は駆け足で収斂していきます。時空間跳躍や、放火犯探し、商店街の未来のための現金強奪計画など、はらはらさせられ通しでした。最後の捻りは少し無理があるけれど、よかったです。理系色のない作家に、ここまでハートをつかまれるとは思いませんでした。

高野さん。創薬化学専攻の大学院生・古賀研人は、急逝した父の残したわずかな手掛かりから、隠されていた私設実験室に辿り着きます。同じ頃、特殊部隊出身の傭兵イエーガーは、息子の治療費を稼ぐため、極秘の暗殺作戦を引き受けます。戦争状態にあるコンゴのジャングル地帯に潜入するのです。
「人間だけが他の生物を絶滅させることができる」という言葉が、印象的です。合衆国は、人類の恐怖を取り除くためあらゆる機関を総動員します。 日本、コンゴ、合衆国の人物に同じ発想と説明をさせ、ご都合主義な配置も鼻に付きいらいらしました。スピルバーグ好きな作者の壮大な物語という目論みはわかりますが、手に余ったのでしょう。読者は目が利きますから。

「Book」読書日記に、詳しい感想をアップしましたので、見てくださいね~♪

(写真:アセビ:馬酔木:小さな鈴の花の中に、雨の雫をためています:公園)
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*Comment

★感想拝読

しました。『サマー/タイム/トラベラー』は、喫茶店「夏への扉」とか、響子の強烈な個性など、私の好きな要素満載の作品でした。

タイムトラベルものというと、「過去に行って人生をやり直したい」系が多いなか、「未来にしか行けない」という設定、しかもたった数秒という限定の時空間跳躍を、よくぞここまで膨らませたものだと感心させられたのを憶えています。

『ジェノサイド』は、個人的には悪くないなと思ったのですが・・・たしかに古賀研人の特効薬完成までのくだりは、あれだけのお膳立てが用意されていなければリアルでは到底無理な話だろうなあ・・・。
八方美人男 |  2012.02.29(Wed) 23:39 |  URL |  【コメント編集】

ありがとうございます~(^^)
『サマー/タイム/トラベラー』は、八方さんの書評を読んで、おもしろそうだと手にしました。SF好き、ミステリ好きな読者にはたまりませんね。
そう、たった数秒のタイムトラベルというのが、いままでなかったと思います、しかも未来。科学が発達し人類が幸せに暮らすという未来像が失われた今では、過去をやり直そうと足掻いているのかも知れません。
妙に、ツボでした♪

『ジェノサイド』は、エンタメとしておもしろいと思います。ただどうも読んでいるあちこちのキズが意識に残ってしまいました。ありえない、それは、と突っ込まざるを得ません。ほんとうに、読者って(いえ、わたしって)わがままですよね(笑)
yui |  2012.03.01(Thu) 21:15 |  URL |  【コメント編集】

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