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(No.4220)  川端裕人「雲の王」/千早茜「森の家」/堀江敏幸「燃焼のための習作」

2012.08.12 (Sun)



ロンドン五輪女子バレーボールだけは見ていました。銅メダルおめでとう。
最終予選の大変さと、更に技術をレベルアップした戦いに拍手です。順々決勝で中国を破ったのがすごかったです。最期の3位決定戦は宿命の韓国で、みごとな日本バレーを見せてくれました。あとは高さのブラジル、ロシア、アメリカなどとどう戦うかが次の課題でしょうか。それぞれの厳しい表情や笑顔がすてきでした。

先週の3作。
川端裕人「雲の王」
千早茜「森の家」
堀江敏幸「燃焼のための習作」

川端さん。気象台に勤務する美晴は、行方知れずの兄からの手紙で息子の楓大とある郷を訪れます。天気と深く関わる「空の一族」で、美晴たちには五感で風や空気を知る不思議な能力があるというのです。郷から戻った美晴は、ある研究プロジェクトに参加します。最新システムの気象台が集中豪雨を予報し被害を止めた直後、美晴はダウンバーストの予兆を見てしまい。警報を出し、かろうじて被害を最小限に留めます。プロジェクトは台風の進行方向を変更する研究をするが、誤って発生させた巨大な台風が日本を直撃しようとすし、必至に阻止するために取った手段とは。
ひさびさの作者の作品でしたが、壮大なスケールの物語を書いていたのですね。不思議な力の描き方は少し腰が引けているようですが、気象ものとしてとてもおもしろかったです。何気なく見上げる空の雲を再認識した思いがしました。地球規模の気象の仕事も興味が引かれます。新鮮でした。

千早さん。30歳過ぎの美里と、ひと回り歳上の恋人・総平さん、その息子で大学生のまりも君。まりも君は総平さんの本当の子どもかどうかもわからないけれど、受け入れ20歳まで育てることにしたといいます。緑に囲まれた家で「寄せ集めの家族」は、互いのことに深く干渉しなせず、その暗黙のルールで暮らす居心地のよさは、総平さんの微笑みとまりも君の空気が作っているのです。けれどふいに総平さんの突然の失踪で均衡が破られます。
祖母に守られるまりも君。恋人とは言えマイペースで飲んで帰るような美里。書斎に閉じこもる以外は、すべてを笑顔で引き受ける総平さん。こんなにも希薄な疑似家族が、美里の中の眠っている血を起こします。母との確執の濃厚な関係が引き継がれていたのです。ラストは少し軽いけれど、わたしもほしい人間関係でした。

堀江さん。雷雨がやむまでもうしばらくと、探偵事務所の枕木の言葉に、依頼人・熊埜御堂(くまのみどう)氏が頷きます。インスタントコーヒーを飲みながら、助手の賴子さんも加わりとりとめのない会話が続きます。
雨の湿気が室内を埋め、レトロなおんぼろなたたずまいに、終わらない謎解きや会話が溶けていきます。緩やかな糸をたぐるような曖昧さと、直接関わりのない生なシーンがところどころにあり、不思議な本です。語りのリズムに乗れるかどうかで好き嫌いが分かれそうです。わずか217ページが長かったです。

「Book」読書日記に、詳しい感想をアップしましたので、見てくださいね~♪

(写真:ヒマラヤエンゴサク=ブルーに惹かれて育て、ひと夏で溶けて吹き飛びました:ベランダの幻の花)
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