2017年10月 / 09月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫11月

(No.4263)  乾禄郎「完全なる首長竜の日」/越谷オサム「いとみち」/沼田まほかる「九月が永遠に続けば」

2012.10.14 (Sun)

syumei-gun8.jpg



日差しが傾き、道路に映る影の角度も変わってきました。
秋は着実に進んでいきます。先日までの30度越えが信じられないですね。きょうも今週も、穏やかな秋晴れが予想されています。季節は確かな歩みです。

先週の3作。
乾禄郎「完全なる首長竜の日」
越谷オサム「いとみち」
沼田まほかる「九月が永遠に続けば」


さん。少女漫画家の和淳美は、植物状態の人間と対話できる「SCインターフェース」を通じて、意識不明の弟と対話を続けますが、淳美に自殺の原因を話しません。ある日、謎の女性が弟に接触したことから、少しずつ現実が歪みはじめます。
淳美は漫画の連載が打ち切られ、次の道が見つかりません。弟との対話にちょっと未来型の装置を設定した、夢と現実とのあわいが次第に混沌としていきます。途中で淳美の状況を推測できてしまいますが、ラストまで読ませます。多少狭い世界だとは言え人間の心理を見据え、「首長竜」の小道具で希望を残します。感覚的には好きな作家です。

越谷さん。本州最北端のメイドカフェで、泣き虫でなまりの強い津軽弁で「ドジッ娘」高校1年生の相馬いとが、先輩メイドや優しい店長、お客に助けられて成長していきます。
津軽三味線の師でもある祖母に育てられたいとは、メイド服にあこがれてアルバイトを始めます。失敗にもめげず、乗り越えていく若さがいいですね。故郷に近いのですがなまりが特に強い地域で、いまでは使われることもない津軽弁に苦笑しながら読みました。説明的な補足や文章の流れがあるので、方言が分からなくても楽しめる作品だと思います。津軽三味線を弾くシーンがとてもいい雰囲気が出ています。久々に、本格的な演奏を聴きたくなりました。作中にれんげ草が出てきますが、青森県は北限から外れていますので咲きません。

沼田さん。高校生の一人息子・文彦が、ゴミ出しに降りたまま失踪してしまったのを機に、母・佐知子の周囲で次々と不幸が起こる。愛人の電車事故死、別れた夫・雄一郎の娘の自殺。雄一郎とその後妻の忌まわしい過去が、佐知子の恐怖を増幅します。見かねた同級生のナズナとお節介なその父は、なにかと面倒を見ます。
引き込まれて読んでしまったが、美しい少女の設定やお決まりのかつての少女暴行事件を、膨らませて1作にする力量は確かにあります。うまい作家だと思います。けれど、どのシーンも読んだことのある出来事ばかりの、積み重ねに感じられてしまうのです。ナズナとその父に向ける視線にさえ不信が感じられ、後味が悪かったです。

「Book」読書日記に、詳しい感想をアップしましたので、見てくださいね〜♪

(写真:シュウメイギク=秋明菊:白の群生も、紅色のたたずまいもきれいですね:公園)
関連記事
08:49  |   |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

*Comment

今年は村上春樹さんがノ-ベル賞を期待されていましたが、残念でしたね。
yuiさんは、村上春樹さんはどうなんでしょう?

秋明菊は一輪咲きが風情を感じるんですが、すぐに軍団になってしまいます。
八重花は素朴さはないですが格調高いですね。
えんてつ |  2012.10.15(Mon) 13:37 |  URL |  【コメント編集】

村上さん人気はすごいですね(^^)
新刊が出ると図書館の待ちが850人とかになります。
わたしは初期の作品が好きでした。人気が出た「ノルウェー・・・」で決別した口です(笑)

秋明菊。お庭ではたちまち増えますね♪
公園ではあまりに増えて、別な区画にぱらりと植え替えられてしまいました。一重も、八重も、雰囲気が好きです。
yui |  2012.10.15(Mon) 20:35 |  URL |  【コメント編集】

コメントを投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除するのに必要
SECRET  管理者だけにコメントを表示
 
 | BLOGTOP |