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(No.4333)  水生大海「てのひらの記憶」/フレッド・ヴァルガス「青チョークの男」

2013.01.14 (Mon)



今年初めての雨が、雪に変わりました。
うっすらと屋根が白くなり、少し積もりそうな降り方です。どんよりと暗い空を見上げるとため息が出ますが、ベランダのピンクのサザンカが次々に開花してきれいです。15個咲いています。まだつぼみがたくさん付いているので、長く楽しめそうです。

先週の2作。
水生大海「てのひらの記憶」
フレッド・ヴァルガス「青チョークの男」


水生さん。江戸時代から続く質屋・結城屋は、美術学部の女子大生・円と、祖母と二人で営んでいます。円には代々受け継がれた、物に刻まれた記憶を感じる力があります。不穏な記憶を感じ取った円は、持ち主の女性のマンションへ行くと、真っ赤な薔薇の中で女性は自殺していたのです。その隣の部屋には大学の同級生、自殺現場にそっくりの絵を描く深見が住んでいます。
5編の短編集です。質屋に立ち寄る警察官や、祖母、円、感情を見せない深見などキャラが立ち、しっかりしたミステリになっていています。リストカットを繰り返していた、深見の姉の行方不明も絡み物語に厚みがあります。円の力には限界があるし、事件が解決しても人の心はすぐには解決しません。それでもこんな力を持つ人がいたら、ほんの少し希望があるのではないでしょうか。

ヴァルガス。パリの街で夜毎、路上に青チョークで円が描かれ、その中に蝋燭、人形の頭、時計のベルト、クリップ、飲料缶などの無意味な物が置かれるという奇妙な出来事が続いていました。変質者か、単なるいたずらか。警察署長アダムスベルグは何かを感じ、そしてついに、喉を切られた女性の死体が見つかり連続殺人事件に発展していきます。
不可思議な精神構造のアダムスベルグの直感力、青チョーク男を追っている女性の理解不能な思考回路、彼女の下宿人の盲目の青年をと老女の、噛み合ない会話と思考など、おもしろい登場人物たちです。彼らに話をさせて、アダムスベルグの思考が知らせる犯人像を、読者の前に立証させる展開になります。隔靴掻痒の進展から、後半一気に収斂させるスピード感のバランスが絶妙です。

「Book」読書日記に、詳しい感想をアップしましたので、見てくださいね〜♪

(写真:ロウバイ=蝋梅:少し遅れて、小さな花が咲き始めました。青空が似合います:公園)
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