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(No.4492)  ネレ・ノイハウス「白雪姫には死んでもらう」/池井戸潤「最終退行」

2013.08.25 (Sun)



どうやら深夜から雨だったようです。
湿度は高いけれど気温は27度で、数日振りにようやく部屋の空気を入れ替えました。11時にはまたエアコンに逆戻りです。

先週の2作。
ネレ・ノイハウス「白雪姫には死んでもらう」
池井戸潤「最終退行」

ノイハウス。空軍基地跡地の燃料貯蔵槽から人骨が発見された。検死の結果、11年前の連続少女殺害事件の被害者だと判明した。その頃、犯人として逮捕されたトビアスが刑期を終え、故郷に戻ってきた。親は離婚し牧場は荒れ果てバーは店を閉め、クラウディウスの見えない金の力で、村は一変していた。トビアスは冤罪だと主張したが村人たちに受け入れられず、暴力をふるわれ、母親まで歩道橋から突き落とされてしまう。捜査にあたる刑事オリヴァーと部下・ピアは、狭い村での人の繋がりや利害の深いところまで探っていく。
トビアスの冤罪を証明してしまう、少女の白骨の発見からスリリングです。ラストで明かされる、強向精神薬を与え続けられた口の利けないティニーの真実まで、一人一人の像が見事に描かれています。狭い人間関係だからこそ生まれる、やさしさと残酷さ、光と陰。誰の背中にも闇が潜んでいます。それらを重すぎず、テンポよく、余すところなく収斂させた作品です。

池井戸さん。都市銀行の中でも「負け組」といわれる東京第一銀行の副支店長・蓮沼鶏二は、締め付けを図る本部と、不況に苦しむ取引先や現場行員との板挟みに遭っていた。一方、かつての頭取はバブル期の放漫経営の責任をもとらず会長として院政を敷き、なおも私腹を肥やそうとしている。リストラされた行員が意趣返しの罠を仕掛けるが、蓮沼はその攻防から大がかりな不正の匂いをかぎつけ、ついに反旗を翻す。
蓮沼は毎日のように遅くまで残業し、最後に支店を出る「最終退行」の常連です。公的資金に頼りながら、なおも会長として院政を敷く元頭取、その会長に策謀を巡らすリストラに遭った行員との攻防が、明確になります。ストーリーの構成が若干、類型的な面はありますが、現場の行員の苦悩が深く描かれています。作品での本筋ではありませんが、ほとんど父親が家にいないことが、どれほど家族に取って過酷なことかと思いました。エリート行員の範疇ですら(あるいは、だからこそ)、日本の滅私奉公的な労働の実態を見せます。

「Book」読書日記に、作家ごとの感想があるので、見てくださいね〜♪

(写真:リコリス=別名:夏水仙:子どもの頃の庭に、1年だけ咲いて消えた花。どこかなつかしい:市内)
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*Comment

★村社会こわい!

『白雪姫には死んでもらう』、小さなコミュニティーの嫌なところが余すところなく描かれていましたね(笑)。同じくらい、いいところもあるんだろうけど、一度マイナス方向に働きだすと歯止めがきかなくなる感じが怖かったです。タイトルに関わる事件も、そもそも発端は、えっそんなことで?って話ですもんね。
くら |  2013.08.29(Thu) 09:38 |  URL |  【コメント編集】

「白雪姫には・・」は、求心力のあるタイトルですね。小さな村での、息詰るような人間の感情の交錯を見せつけられました。
テンポもよく、訳もいいのだろうと思いました。
この小さな村を日本に置き換えると、怖いですね(>.<)
最近海外物に手が出にくくなっていたので、とてもよかったです(^^)
yui |  2013.08.30(Fri) 08:12 |  URL |  【コメント編集】

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