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(No.4508)  池井戸潤「シャイロックの子供たち」/朱川湊人「なごり歌」

2013.09.16 (Mon)



深夜から、幾度か目を覚ましました。
強い風と雨で、立て付けの悪い室内のドアが揺れました。朝起きてみると、激しい雨と風です。これからが本格的な台風の影響が出ると言うことなので、外出はせず過ごそうと思います。ベランダの鉢は昨日から避難させています。遮光ネットは大丈夫かと思っていましたが、揺れ具合を見ると外した方がよさそうです。雨が小振りになった隙を見て、作業をします。しかし、止む時があるのでしょうか。

先週の2作。
池井戸潤「シャイロックの子供たち」
朱川湊人「なごり歌」

「シャイロックの子供たち」。ある町の銀行の支店で現金紛失事件が起こった。女子行員に疑いがかかるが、別の男が失踪する。「たたき上げ」乙採用(高卒)の副支店長の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上らない成績。事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤。銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮すことの幸福と困難さを描く。
副支店長の必死に成績を上げようと部下を叱咤するシーンは、危ういです。現金紛失を数人で穴埋めするという、規定違反をせざるを得ない立場に立ってしまいます。どうしても新規顧客を取れない行員が、ついに大口の融資を決めてきます。ハイになる行員と一緒に会社を訪れた上司が見たのは、悲惨なものでした。一人一人を丹念に描くと、読みながら気持ちが暗くなります。銀行員になどなるもんじゃないなと、作者の意図とは違う感想を持ってしまいます。どんな会社でも同じことがあります。日本の経済を支える大組織の銀行ならではの、悲哀と喜びが入り交じります。

「なごり歌」。あの頃、ひとつの町のような巨大な団地は、夫婦と子どもたちの笑い声が響き、夢があった。三億円事件の時効が迫り、TVに夢中になったのも、団地とともにあった。洋服の仕立てをこっそりする人がいたり、模型飛行機を飛ばし続ける男がいたり、妻を亡くし自殺した男のがいるとも。子どもたちは、小さな祠にいるという雷獣に興味を持ち、ささやかな冒険をしてみる。
連作短編集で、底辺に流れるのは夢だった過去への懐しさ、失われたものの哀しさでしょうか。雷獣も幽霊もホラーというより、ファンタジィです。追憶は今の現実に通じる道なのだと、作者は伝えたかったのかも知れません。それにしてもなんと、現在の子どもたちの、大人たちの、立つ環境の厳しい変化を思わずにいられません。

「Book」読書日記に、作家ごとの感想があるので、見てくださいね〜♪

(写真:エキセレントマム ・ピコ:あまりの可愛らしさにひと目惚れ。1cmほどの小菊:ベランダ)
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