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(No.4598)  浦賀和宏「彼女のため生まれた」/丈 武琉「セオイ」

2014.01.26 (Sun)




浦賀和宏「彼女のため生まれた」
丈 武琉「セオイ」

「彼女のため生まれた」母親を高校の同級生・渡部に殺されたライターの銀次郎。犯行後自殺した渡部の遺書には、高校の頃、銀次郎が原因で自殺した女生徒の恨みを晴らすためと書かれていた。なぜ母は殺されたのか。母の死の真相と身に覚えのない汚名を晴らすため、奔走する銀次郎を次々と襲う衝撃の真実。

渡部の母と姉の出現に振り回され、15年前の同級生から思わぬ情報を得るが、そのまた裏を知るライターとしての銀次郎です。遺書を競合出版社に売ろうとする動きで、身体も危うくなるなど、ひとつ開けると次の難関が待っている連続でした。どんでん返しの連続に、一気に引き込まれて読み終えました。最終の目的、狙いは驚くべきものでした。ひさびさの浦賀さんの作品です。こういう重い路線を書いていたとは気付きませんでした。

「セオイ」「セオイ」は、悩む人々が最後に頼ると噂される謎の伝承技である。技の使い手の鏡山零二と助手の美優は、西新宿の裏路地に居を構え、密かに老若男女を救っていた。だがある時、有名作家の事故死との関連でベテラン刑事に目をつけられ、執拗につきまとわれる。必ずしも無関係とは言いがたいのだが。鏡山はやがて、美女連続殺人事件に絡んだ恐ろしい陰謀の渦中にのみ込まれていく。

他人の人生を背負い、死にたい男性は自殺できるようにする。明るく生きたい女性が、中央線13番ホーム最終電車の後に来る無人の電車に乗ると、気が付くのは駅のベンチだった。出だしは苦しみを背負う空気ですが、多数の殺人事件が発生しSFホラーめいた展開になります。双子の兄の狂気の悟りの世界と、現実の世界が複雑に捻れていきます。文章も荒く展開も既出の感もありますが、デビュー作としては全力を出した好感度は高いです。2作目以降はどうなるか。難しい分野選択になりそうです。

「Book」読書日記に、作家ごとの感想があるので、見てくださいね〜♪

(写真:蘭"エランギスビロバ" :白い星の形がかわいいです:公園温室)
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*Comment

★浦賀カムバック

いやずっと現役でしたけど・・・>浦賀和宏さん

『彼女は存在しない』文庫版がまさかのヒット商品になった浦賀先生。地力がある作家だけに、ちゃんと売れないのは惜しいと思っていましたが、幻冬舎文庫で出すようになってからコンスタントに売れているみたいでほっとしました。登場人物の微妙なひがみやねたみそねみ、劣等感等、致命的ではない「ちょっとした」マイナス感情の書き方が堂に入ってきた感じがします。ロジックとエモーショナルな部分とのバランスが良くなった(というか、双方が相乗効果でちゃんと機能している)ように思いました。
くら |  2014.01.28(Tue) 14:29 |  URL |  【コメント編集】

★すごい進化かと

そうですね。わたしもかなり離れていました。浦賀さん。
これはおもしろかったです。人物の多面的な感情を、丁寧に書き込んでいましたね。 社会的な見方というか、メディアの引っ張る力が、どう動くか怖いです。
構成やディティール。おっしゃるように、うまく(失礼)なったと思いました。また追いかけてみます(^^)
yui |  2014.01.28(Tue) 18:44 |  URL |  【コメント編集】

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