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(No.4707)パトリック・モディアノ「失われた時のカフェで」/松崎有理「就職相談員 蛇足軒の生活と意見」

2014.10.31 (Fri)



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27日に、木枯らし一号が吹きました。
ベランダの小菊の鉢が倒れていました。容器が軽過ぎるのでしょう。植え替えなければと思いつつ、開花の時期になってしまいました。来年はきっと、と空手形にならないように心に刻んでおきます。

今回の2作。
パトリック・モディアノ「失われた時のカフェで」
松崎有理「就職相談員 蛇足軒の生活と意見」

「失われた時のカフェで」パリ。いまもまだ僕には聞こえることがある。夜、道で、僕の名前を呼ぶ声が。ハスキーな声だ。シラブルを少し引っぱった発音で僕にはすぐ判る。ルキの声だ。振り返る、でもそこにはだれもいない。夜だけじゃない。ひと気の引いたこんな夏の午後。でももうよく僕らには判らない、一体どの年の夏に自分がいるのか。もう一度、以前とおなじに全ては始まる。おなじ日々、おなじ夜。おなじ場所、おなじ出会い。

カフェ「ル・コンデ」に集う常連客たちの中で、ひと際目を奪われる女性ルキを、通称ロランで作家・モディアノの視点で穏やかに静かに語られます。パリの街や空気感を、あるいは常連客の一人を細やかに語ります。またルキの視点で彼女が望んだ世界、見せたい世界が、語られます。こんな静謐な文章をどこかで読んだことがあるなと、心地よく感じながら読み進めました。皮肉にも村上春樹の初期の作品です。併録「『失われた時のカフェで』とパトリック・モディアノの世界」も興味深かったです。

「就職相談員 蛇足軒の生活と意見」博士資格を持ち研究者志望のシーノは、周囲とのコミュニケーション不足で就職できなかった。仮の仕事として嘘の家元で特殊就職相談員、蛇足軒の秘書となった。池の金魚の餌やり、掃除とわずかな事務仕事だった。不死身の少年、ドラキュラ体質の青年、3秒先を予知できる女性などの妙な求職者たちに、あざやかな詭弁で次々と適職を与える蛇足軒。それを見ているうちにシーノの気持ちに微妙な変化が起きていく。

SF作風でコメディタッチの中に、そっと隠れている大切なものがあります。人工知能を持ち博士資格を取得したロボット型掃除機という求職者が現れてから、ストーリーが急展開します。ページ制限か、編集期日制限かはわかりませんが、少し惜しいです。作者の書こうとする方向性が定まらず、読者の私もこれから先に暗雲が立ちこめました。次作に期待です。

「Book」読書日記に、作家ごとの感想があるので、見てくださいね〜♪

(写真①:コスモスの雫:雫の中にコスモスのピンクと、青空のブルーが入りました
   ②:ハナミズキ=花水木:ひと足早い紅葉と赤い実が、秋を先取りです:市内)
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