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(No.4721)フリードマン「もう年はとれない」/中山七里「テミスの剣」/乾ルカ「11月のジュリエット」

2014.12.09 (Tue)



いつものことですが、期日前投票をしてきました。
レッドカードがないわけで、誰かに投票するという現状では反対票を入れるしかありません。投票しないのは、政権支持と同義語です。しかも開票が始まるとほぼ同時に「当確」が出るシステムの不条理さを、TV「生」中継するポーズはなんなのでしょう。政治への不信、政治家への不信、お金の流れへの不信、議員定数削減や予算削減の約束を反古にする不信。東電が過去最高利益を上げていながら、被災地への補償が支払われない、事故の後始末もできない、下請けへの価格切り下げと事故処理への人員要請。消費税増税で年収100〜300万の低所得者の暮らしの厳しさ。
いつもは政治についてコメントをしないようにしてきましたが、ここ数年のあまりのひどさについ口を突いて出てしまいました。少しでも暮らしやすい政治を願うだけです。

今回の3作。
ダニエル・フリードマン「もう年はとれない」
中山七里「テミスの剣」
乾ルカ「11月のジュリエット」

「もう年はとれない」87歳の元殺人課刑事バック・シャッツは、臨終まぎわの友人から言われた。捕虜収容所でユダヤ人のシャッツに厳しくした、ナチスの将校が生きているかもしれないと。その将校が金の延べ棒を大量に所持していた情報がもれ、狙う連中の動きが慌ただしくなる。シャッツは孫のテキーラと共に将校を見つけるが、襲いかかる敵たちと激しい頭脳戦,銃撃戦になる。

357マグナムを抱いて寝る87歳という設定から驚かされます。軽い認知症の自分を認識しながら、孫からネット検索を教えられます。なによりナチスへの深い感情、許せない正義感に立ち向かう姿がすごいです。肉体的にも精神的にも、ぎりぎりの立ち位置からの壮絶な戦いの中に漂うユーモアと暖かさがあります。87歳に留まってほしいとおもいました。

「テミスの剣」昭和五十九年、浦和市で不動産会社経営の夫婦が殺された。浦和署の若手刑事・渡瀬は、ベテラン刑事の鳴海とコンビを組み、若い容疑者・楠木への苛烈な聴取をする。犯行の自白を得るが、楠木は裁判で一転無罪を主張し渡瀬もどこか引っかかりを覚えていた。だがやる気のない国選弁護士で死刑が確定し、楠木は獄中で自殺してしまう。事件から五年後の平成元年。管内で発生した窃盗事件をきっかけに、渡瀬はその真犯人が他にいる可能性に気づく。渡瀬は警察内部の激しい妨害と戦いながら、過去の事件を洗い直していく。

若手刑事だった渡瀬は、当時のやり手の相棒の捜査が正義だと信じていたのです。けれど相棒が退職し自由に動ける立場に立った時、一人で再調査すると証拠ねつ造を見つけてしまいます。正義と、署内、検察、マスコミ、世論にどう対応していくのかが、見せ所です。ただ渡瀬への感情移入がいまひとつ薄く、隔靴掻痒感を抱いたのはわたしだけでしょうか。巧い作家で論理の破綻もないのですが。

「11月のジュリエット」高校2年の優香は修学旅行で乗った飛行機で、謎のガスを吸った乗客が大量死し地獄と化した。生き残ったのはわずか5人。姿を見せた4人の美青年たちは「NJ」という研究のデータを奪うため、秘密に触れた優香たちをも葬り去ろうとする。だが未来から来たという4人にも、はかない花を抱きしめるどこか不安定な気配がある。高校生2人とニートの陣内、中年男性・白山、研究者のイグチは、必死に生き延びようとする。

飛行機の密室パニックが、未来の美しい世界での悲劇を防ぐために、過去を変えるべく現れたSFとうまくつながっています。強靭でいながらもろさを持つ未来人。多数のために少数の犠牲は必要という言葉に、優香は反発します。強く印象に残る作品です。映画化してもおもしろいでしょう。

「Book」読書日記に、作家ごとの感想があるので、見てくださいね〜♪

(写真:ヒイラギ=柊:赤い実を付けるのはいつでしょうか:市内)
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