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(No.4725)バーネット「ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい」/近藤史恵「私の命はあなたの命より軽い」/宮下奈都「たった、それだけ」

2014.12.20 (Sat)



故郷の大雪を考えると、関東の青空が申し訳ない気分になります。
でも風の冷たさや乾燥度は、これはこれで体に応えます。ベランダの花も少ない季節で、朝練で近所のお庭で見つける、花のけなげさに気持ちも温まります。そろそろ年末も近いです。掃除は手抜きでいこうと思っています。

今回の3作。
クリスティン・バーネット「ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい」
近藤史恵「私の命はあなたの命より軽い」
宮下奈都「たった、それだけ」


「ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい」クリスティン・バーネットの息子ジェイクは、アインシュタインより高いIQの持ち主。記憶力抜群で数学が大好き。3歳で天文学に強い興味を示し、9歳で宇宙物理学についての独自の理論に取り組みはじめ、12歳の夏休みには、量子物理学の研究者としてアルバイトも経験した。いずれノーベル賞候補にもなり得ると言われている。だが、かつては自閉症によってその才能の片鱗すら見えていなかった。父と母がたっぷりの愛情を注ぎ、できることをほめ、体で自然や友だちと触れさせ、本を与え、天文台で望遠鏡を覗かせた。

共働きで暮らしは豊かではなく、忙しく、そのバイタリティに驚嘆します。閉じた世界にいるのではなく、ただそれを伝える手段を持たない子として、わずかな信号を受け止め一緒に行動する母・クリスティン。それはどの子にも必要な、親の姿勢だと思います。大学までの方向を決められて遊ぶ機会のない日本の子、食事も満足に与えられず虐待される子。子どもの持つ世界を想像する力のない親。なんという違いでしょうか。一人でも多くの人に読んでほしい本です。

「私の命はあなたの命より軽い」東京で初めての出産をまぢかに控えた遼子の夫・克哉が、突如ドバイへ赴任することになったため、遼子は大阪の実家に戻り、出産をすることにした。実家に帰ると、両親と妹・美和の間に会話がないことに気がつく。 そして父は新築したばかりの自宅を売却しようとしていた。何があったのか。明らかになっていく家族を襲った出来事とは。

近所を通る人の視線の冷たさ、言葉の切れはし、家族の中の空気の違和感が、異世界にいるような感覚をうまく描き出しています。遼子の視野があまりに狭く、人間の心に考えの及ばず、自分が中心で周囲への想像力が欠如しているのが、読んでいて不愉快でした。なぜ出産を間近に控えた遼子が知っていく出来事は、特殊な素材ではないけれど読ませます。ラストのシニカルなシーンも、ありきたりの先に起こりうるものです。

「たった、それだけ」笑顔で優しくて出勤する夫・正幸は、生まれてきた子にルイと名付けるはずが「涙=ルイ」と書いて出生届を出したことに、妻は衝撃を受ける。一生を涙を背負う人生を歩かせることになる、子どもの未来が見えないのだろうかと。会社からは海外営業部長の夫が、贈賄行為に携わっていたことを知らされる。さらに浮気相手が押し掛けてくる。そして戻って来ない夫。夫のことを何も知らなかったことを痛感する妻の絶望。

ひどく重くてやりきれなさが、これでもかと押し寄せてきます。その描写が妻の心理に寄り添い過ぎて、読んでいて頭が呆然としてきます。社会的に周りも見えず、家庭の中でしか思考が広がらない優柔不断さに、浸食されそうでした。自分なりの答を見つけ出す結果にも、なんとも言えない後味の悪さが残りました。作者が、論理的思考ができない病気にでもなったのかと思うほどです。この作品は、無しでした。

「Book」読書日記に、作家ごとの感想があるので、見てくださいね〜♪

(写真:サツキ=五月:日だまりで、返り咲の美人さん:市内)
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