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(No.4780) 乾ルカ「ミツハの一族」/藤井大洋「アンダーグラウンド・マーケット」/早見和真「イノセント・デイズ」

2015.05.25 (Mon)

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(ミニ薔薇"グリーンアイス ":ピンクから白そしてグリーンに変わる小さな薔薇:市内)


(ミニ薔薇:中心の赤が主役。よく見かける種類です。大きく育つとみごと:市内)

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(白薔薇:青空に映えます:市内)

きょうの地震は埼玉県北部が震源でした。こちらの揺れは震度4です。茨城が5弱。かなり強かったです。
地震の発生、箱根や各地の噴火も怖いですね。地震国だという認識ですべてが進められますように。

今回は3作。レビューを書くのをサボっていました。
乾ルカ「ミツハの一族」
藤井大洋「アンダーグラウンド・マーケット」
早見和真「イノセント・デイズ」

「ミツハの一族」大正12年、黒々とした烏目を持つ、北海道帝国大学医学部に通う八尾清次郎に報せが届く。烏目役の従兄が死んだと。墓参りのため村に赴き、初めて水守の屋敷を訪ねた清次郎は、そこで美しい少女と出会う。未練を残して死んだ者は鬼となり、井戸の水を赤く濁す。そのままでは水源は涸れ、村は滅んでしまう。鬼となった者の未練を解消し、常世に送れるのは“ミツハの一族”と呼ばれる不思議な一族の「烏目役」と「水守」だった。過酷な運命を背負わされた「烏目役」清次郎と水守と、一族の姿が明らかになる。

明かりの元で物が見える「烏目役」と、暗闇の中で見える「水守」の目を想像してみました。そこには引き込まれるような強力な魅力さえ感じます。医学的に解明しようとする気持ちと、守り続けられる因習と血筋との淡いに立つ清次郎の葛藤が、興味深いです。「水守」に光を与えようとし、文字を教えハーモニカを与えます。そこに生まれた感情が悲劇を引き起こします。不思議な世界に引き込まれて読みました。こういう物語も書けるのですね。次作がまた楽しみです。

「アンダーグラウンド・マーケット」2018年、出稼ぎを求めて急増した海外からの移民と政情不安定な国からの難民であふれ始めた街東京。たび重なる増税は、日本に「地下経済」の爆発的流行をもたらした。当局に把握されないで税を回避できる商取引は、電子決済の一般化とともに社会に浸透。個人間電子決済の一般化と外国人労働者の流入。増え続ける移民と、開く格差が利用人口をさらに増やしていた。WEB周りのなんでも屋として企業の間を渡り歩く巧は、地下経済の恩恵を受けるフリーランスだ。仲間の恵、鎌田とともに請けたWEB開発案件はもちろん地下経済がらみで、早くもトラブルの匂いを漂わせていた。

極近未来世界を思わせるリアリティに、舌を巻きます。殺伐とした世界に、逞しく適応していく才能を持つ若者たちが頼もしいです。スピーディーな展開と、明確なキャラ設定がややライトな感じにしているのは、惜しい気がします。Web小説からのスタートと紙媒体小説との狭間に、作者は挑戦者として進んでいきます。応援したくなります。

「イノセント・デイズ」放火によって奪われたのは、元恋人の妻とまだ1歳の双子の命だった。確定死刑囚・田中幸乃の人生は不運と悪意に支配され、暴力と裏切りにも会う。小学校の「丘の探検隊」という遊びのグループの一人一人が、を信じていた。関わった周囲の人間から見える幸乃の人間像と人生を浮き彫りにしていく。死に至る病の幸乃は、生きることを止めようとしていた。

周囲の人間関係を克明に書けば書くほど、幸乃はひどい仕打ちを受けていたことが明らかになります。けれど、その執拗さの中に含まれている人間の心の中の冷酷さや打算に埋め尽くされて、読んでいてあまり気分はよくありませんでした。悪意によって悪人になると言いたかったのか。人間の嫌な面を暴くことに力が入り過ぎています。それにしては小学校の友人との繋がりに、寄りかかり過ぎています。ラストも想定範囲で終わります。新鮮さに欠け、残念です。

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪
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