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(No.4820) 榎本憲男「エアー2.0」/五十嵐貴久「贖い」/湯本香樹実「岸辺の旅」

2015.10.12 (Mon)


(大文字草:秋空に描く大の文字ひとつ)

楽天ジャパンOPで、錦織選手は準決勝敗退でした。対戦相手は全米OP初戦で負けたペール選手です。準々決勝での肩の調子の悪さが回復していないようで、ネットインサーブが目立ちました。強打ボレーの対戦で苦しい戦いでした。言い訳はしない錦織選手です。回復させ次の上海ロレックスマスターズで頑張ってほしいです。

今回の3作。
榎本憲男「エアー2.0」
五十嵐貴久「贖い -あがない」
湯本香樹実「岸辺の旅」


「エアー2.0」新国立競技場の工事現場で働く中谷は、足元もおぼつかない老人と関わる。彼は馬券を中谷に預けて仕事を去る。馬券は大穴で当たった。一方、現場で爆破事件が起き仕事が中断する。多額の現金を預かる中谷の前に再び老人が現れる。15%を手数料として払う計画への勧誘を受ける。老人は感情をも計算して完璧な市場予測を出す「エアー」システムを開発しているという。高級ホテルに滞在し巨額の富を生み出しているのだ。老人の代理人に指名された中谷は、日本政府に無償でシステム提供する交渉をすることになる。政府が持つビッグデータをインプットすることでエアーはより完璧に近づくのだ。政治家や官僚たちを相手に契約を取り付け、中谷が求めたのは福島の帰宅困難地域を経済自由区として運営を任せてほしいというものだった。

いまの閉塞感に風穴を空けたいという最近の気持ちが、この本を手に取らせました。村上龍「オールド・テロリスト」「希望の国のエクソダス」にも何かを期待していた自分がいます。村上氏より現実に近いリアリティがありますが、経済自由区と流通マネーは破綻を予想させます。ラストで次の希望を託された中谷たちが、果たして未来を描けるのか。わずかな光は残されます。ぐいぐい引きつけて読ませる力は、久しぶりに出会った作家です。次作も読んでみたいです。

「贖い -あがない」東京の小学校の校門に男児の切断された頭部が置かれていた。埼玉県では林で中学生の少女の刺殺死体が発見される。愛知県ではスーパーで幼児が行方不明に。事件の捜査は広域のため警察の総力を挙げたが、難航した。警視庁の星野警部と新人刑事・鶴田里奈もローラー作戦から参加していた。

2段組みで465ページだが、丹念でいながらスピード感があり引き込まれて読みました。犯人はかなり前半で登場しますが、3件のつながり、被害者たちの心理、犯罪の動機をじわじわとあぶり出していく過程を書きたかったのでしょう。20年の復讐への思いがそこまで強く残るものなのかと、唸らせるところがあります。ただ動機となる同じような事件が多過ぎるため、新鮮さがないのが残念です。

「岸辺の旅」長い間失踪していた夫・優介がある夜ふいに帰ってくる。ただしその身は遠い水底で蟹に喰われたという。きみが三年の間どうしていたか、話してくれないか。彼岸と此岸をたゆたいながら、瑞希は優介とともに死後の軌跡をさかのぼる旅に出る。

死んだ夫が帰ってきた不思議をそのまま受け入れる段階で、すでに作者の術にハマってしまうのです。たあいない、行き先の見えない会話が続き、旅に出ます。いつのまにか二人の哀しみに共感してしまいます。現世とあの世を行き来してしまう、そういう世界に浸っていたいと思わせてくれます。映画ではどんな描き方になるのでしょうか。

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪
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