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(No.4827)川瀬七緒「メビウスの守護者」/岸田るり子「出口のない部屋」/佐々木譲「新宿のありふれた夜」

2015.11.11 (Wed)


(菊:かわいい姿ですね:公園)

4日ぶりの青空です。
ボイストレーニングの筋肉質の先生がお勧めするストレッチは、とても無理です。介護ヘルパーをしている妹から、座ったまま、横になったままできる筋肉増強ストレッチを教えてもらいました。それさえ、腿の筋肉痛になるわたしの体のレベルは要介護なのではと、苦笑です。歌の個人レッスンを受け始めました。いきなり「カーロミオベン」からで、イタリア語の読み方と巻き舌、リズム感を取り戻す練習の始まりです。いつまで続けられるか、最初から危惧を抱えてのスタートです。

今回の3作。
川瀬七緒「メビウスの守護者」
岸田るり子「出口のない部屋」
佐々木譲「新宿のありふれた夜」

「メビウスの守護者」西多摩で、男性のバラバラ死体が発見される。岩楯警部補は山岳救助隊員の牛久と組み、捜査を開始した。捜査会議で、司法解剖医が出した死亡推定日に、法医昆虫学者の赤堀が異を唱えるが否定される。村での聞き込みを始め、息子に犯罪歴がある中丸家と、食物アレルギーの息子を持ち街から転居してきた一之瀬家が孤立していることを知る。その息子の治療をする調香師ちづると、怪しい住人たち。虫の観察結果からの死後経過の謎と、残りの遺体も不明。果たして赤堀たちは真実に近づけるのか。

調香という新しい世界を、川瀬さんは楽々と越えて描いてみせました。死臭に引き寄せられる虫たちの存在。香りや匂いを科学成分で特定していく赤堀の鋭い勘も働き、特殊な殺人の動機と犯人が見えてきます。けれどそれは、壮大な復讐劇の始まりでもあったのです。ラストまでおもしろく読ませてくれます。安定した筆力があり、キャラ設定もシリーズ物レベルになってきています。香りというと井上夢人の「オルファクトグラム」が今も鮮明に印象に残っています。それに迫るいい作品だと思います。

「出口のない部屋」赤いドアの小さな部屋に入り込んだ3人の男女。自信あふれる免疫学専門の大学講師・夏木祐子。善良そうな開業医の妻・船出鏡子。若く傲慢な売れっ子作家・佐島響。関連のない3人は、なぜ一緒に閉じ込められたのか。それぞれが語りだした身の上話に散りばめられた謎。そして全ての物語が終わったとき浮かび上がる驚くべき真実。

3人のそれぞれの心理が描かれていく過程がうまいです。安由美が鶏とウズラのキメラの移植手術に没頭する研究室から、夏木の冷凍された頭部が見つかります。そして作家の佐島の壮絶な炎上死が目撃されます。ストーリーテラーとして、引きつけられました。素材の衝撃性からなのか、以前の作品からおもしろくなっています。

「新宿のありふれた夜」新宿で10年間任された酒場を畳む夜、郷田は血染めのシャツを着た少女を店内に匿った。怯えながらメイリンと名のる少女は、監禁場所から脱けだす際、組長を撃ち組織に追われていた。さらに郷田は難民生活、日本での過酷な労働を強いられたメイリンに衝撃を受ける。新宿の暴力団の凶手。警察の執拗な捜査。この娘を救わなければ。メイリンの姿に自分の姿を重ねた郷田は、二重包囲網の突破を計った。

表題の通り、ありふれた素材にも関わらず読ませますね。新宿の知らなかった裏の顔を突きつけられ、次第にメイリンに惹かれていく心理も丁寧に描かれます。よくあるストーリーとは言え、おもしろかったのは発見でした。

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪
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