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(No.4845)バリー・ライガ「殺人者たちの王」/神林長平「絞首台の黙示録」「誰の息子でもない」

2016.02.07 (Sun)


(白梅・八重咲き:早い開花ですぐに満開になりそう:公園)

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(紅梅:ピンクから真紅までさまざまありますね:公園)

花粉症が始まりました。
朝起きるとマスクをして、洗顔、食事の度に外しながらほぼ一日中付けています。比較的軽いわたしですが、どうしてもほしかったシクラメンを夕方から朝にかけてベランダから室内に入れるため、ひどくなっている気がします。エアコンを入れても花粉は飛び込んできます。我慢するしかありません。高品質のエアコンに買い替えるか、空気清浄機を購入するか、悩みどころです。

今回の3作。間が空いたのは、なかなか感想を書く気持ちになれなかったためです。
バリー・ライガ「殺人者たちの王」
神林長平「絞首台の黙示録」「誰の息子でもない」

「殺人者たちの王」ジャズは希有のサイコ・キラーの父に施された殺人者としての英才教育を見込まれ、連続殺人犯<ハット・ドッグ>の捜査協力をニューヨーク市警に依頼される。調べるうちに、故郷で起きた「ものまね師」事件との繋がりに気づく。そして被害者の遺体に書かれた〈ゲームへようこそ、ジャスパー(ジャズ)〉のメッセージ。まさか父からの宣戦布告なのか。

高校生のジャズは、自分が無意識にあるいは意識して相手をコントロールする度に苦悩します。事件の設定の巧みさと、軽めの文章が読者が深刻になり過ぎずに読んでいけます。父への憎しみとジャズは認識しているけれど、愛憎が混沌としているようにも見えます。次回の最終作への期待を持たせるラストは、お預けを喰らったようで腹立たしいほどです。待ち遠しいです。

「絞首台の黙示録」長野県松本で暮らす作家のぼくは、連絡がとれない父の安否を確認するため、新潟の実家へと戻った。だが、実家で父の不在を確認したぼくは、生後3ヶ月で亡くなった双子の兄タクミを名乗る自分そっくりな男の訪問を受ける。彼は育ての親を殺して死刑になってから、ここへ来たというのだが。絞首刑のシーンと教誨師もなまなましい。死んだのになぜいるのか。教誨師を訪ねることにする。

リアルな人間の意識、認識、意志、時間、存在というものが、かすかにきしみ揺らいでいきます。実に美しい明確な文体で、物語が展開していきます。人間の内へ内へと入り込んでいく感覚がすごいです。人間の意識が作り出すものすべてが危ういものになり、残るのは生きている人間のささやかな日常と認識なのでしょうか。脳内の時間旅行をした気分になりました。作者の文章が屹立して好きです。おもしろい作品だと思います。

「誰の息子でもない」祖父の田畑を売り払い、母とぼくを捨てて出奔した親父が、高校生の頃に死んだ。十数年後。日本には各家庭に一台、携帯型対空ミサイル(略称:オーデン改)が配備されている。市役所の電算課電子文書係で働くぼくの仕事は、故人となった市民のネット内の人工人格(アバター)を消去することだ。しかし目の前に、死んだはずの親父の人工人格が現れた。

作者の引き締まった文体が好きです。ここまで人格の存在があいまいな、メビウスの輪のような、1点からくるりと世界が裏返しになるような世界を描きながら、骨格のみごとさに驚かされます。ぐいぐい読み進みながら、終わるのが惜しくてゆっくり読みたいアンビバレンツな思いに引き裂かれます。

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪
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