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(No.5888)バリーライガ「ラスト・ウィンター・マーダー」/横山秀夫「64」/佐々木譲「代官山コールドケース」「警察の条件」

2016.06.04 (Sat)


(紫陽花"ピンク・アナベル":真っ赤な蕾から淡いピンクの小さな開花がかわいい:ベランダ)

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いよいよ引越一週間前です。少し疲れ気味ですが、なんとか保つでしょう。

今回は4作。感想を書く時間がなかったということにしておきましょう。
バリーライガ「ラスト・ウィンター・マーダー」
横山秀夫「64」
佐々木譲「代官山コールドケース」
    「警察の条件」

「ラスト・ウィンター・マーダー」3部作でついにシリアルキラーの父・ビリーを追い詰めるジャスパー。だが恋人のコリーが誘拐され、血友病の友人ハゥイーに助けられながら追っていく。捜査陣はビリーに混乱させられる。ジャスパーは、失踪した優しい母は生きていると信じていた。その母も見つけた。けれどその姿は想像を絶するものだった。殺人鬼の血を受け継ぎ教育されたジャスパーが、そちらの世界に足を踏み出すのかどうか。際どい選択を迫られる。撃たれたジャスパーを病室のベッドに手錠で括り付ける刑事たちをも、見なかったことにさせる、壮絶な闘争の最後のシーンがすさまじい。テンポよく、陰惨にならず、結末を迎えさせる力はすごい。

「64」映画化されている原作です。複雑な人間関係や組織の絡みを、しっかりした構成力で支えています。警察内部の人間関係の軋轢の濃さを書くと、右に出る作家はいないのではないでしょうか。「64」と呼ばれる、昭和64年発生の少女誘拐殺害事件は未解決のまま、担当していた三上や悔い、上層部の隠ぺい工作、鑑識担当官は自責の念から退職、被害者の父の執念、すべての関係者の胸から消えない。おもしろく一気に読ませます。640ページあまりの長編が、映画ではどう表現されるのでしょう。

地位と自身の矜持、部署同士の対立、さらにトップの思惑。刑事から広報官になった三上の、ないがしろにしてきた家庭では、娘が家出あるいは失踪して妻が一歩も部屋から出ない。人間臭くて泥臭くて醜悪な世界だけれど、人間でいたい、自身でありたいと思う三上の姿に共感してしまう。エンターテナーな作家だと思う。

「代官山コールドケース」17年前に代官山で起きた暴行殺人事件は、被疑者死亡で解決したはずだった。だが今、川崎で起きた同様の殺人現場から同じDNAが見つかった。真犯人は別にいたのだ。特命捜査対策室の水戸部に密命が下る。警視庁の威信をかけ、神奈川県警より先に犯人を逮捕せよと。

地道な証拠調べを積み上げていく、苦労の多い捜査が過去の真実を明らかにする。力作だと思う。それにしても17年前の記憶を掘り起こしていく、気の遠くなりそうな仕事の大変さ。わずかな綻びを見出しをキャッチし、解決の道を押し広げていく。リアリティがある。いい作家だと思う。

「警察の条件」都内の麻薬取引ルートに、正体不明の勢力が参入している。裏社会の変化に後手に回った警視庁では、若きエース警部も、潜入捜査中の刑事が殺されるという失態の責任を問われていた。折しも復職が決まった加賀谷は、9年前悪徳警官の汚名を着せられ組織から去った刑事だった。復期早々、単独行で成果を上げるかつての上司に対して安城の焦りは募ってゆく。

ある意味で古い清濁併せ持つタイプの加賀谷は、情報網を広く持ち、法的にすれすれの行動をする。だが変わりつつある裏社会の動きは、変わってきている。警察組織も変わろうとしている。生き残るのか、際どい選択を迫られる。いつもながらの丁寧な描写だが、強いキャラが類型的に見える。作者の得意分野ではないかも知れない。

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪
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