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(No.5896)中山七里「どこかでベートーヴェン」/加藤鉄児「殺し屋たちの町長選挙」/J.G.バラード「ハイ・ライズ」

2016.07.29 (Fri)


(コンロンカ・ムッサエンダ・フリピッカ・オーロラ:雪の女王ドレス的な暑苦しさ:市内)

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(コンロンカ:涼しげな夏の白:市内)

梅雨明けをした関東は、連日30度越えの予報です。平然と亜熱帯という言葉さえ、なんの感慨もありません。年々暑くなり、集中豪雨と、いずれハリケーン並みの台風がくることでしょう。

今回の3作。読書は進むけれど、感想を書くのが億劫になってきています。嫌になったら(苦笑)止めるかもしれませんね。
中山七里「どこかでベートーヴェン」
加藤鉄児「殺し屋たちの町長選挙」
J.G.バラード「ハイ・ライズ」


「どこかでベートーヴェン」県立高校音楽科の生徒たちは、9月に行われる発表会に向け夏休みも校内での練習に励んでいた。ピアノがうま過ぎて周囲から浮いている転校してきた岬と、実力差がありながら鷹村は気が合った。だが豪雨で土砂崩れが発生し、校内に閉じ込められてしまう。電話も電波も通じない。二人は救助を求めるため倒れた電柱を橋代わりに渡ろうとする。辛うじて岬が渡り切り、やがて救助隊が駆けつける。だが授業をサボっていた岩倉が何者かに殺害されていた。警察に疑いをかけられた岬は自らの嫌疑を晴らすため、素人探偵さながら独自に調査を開始する。

才能、努力、勇気、運。音楽だけではなく、スポーツやあらゆる分野で、努力だけではたどり着けない高みがあります。力のないものの妬みの深さを描き切り、目を背けたくなりました。そして小さな村の利権絡みの親と子の関係も心が痛かったです。初期の「ドビュッシー」に戻ったような、ピアノ演奏の描写シーンはすばらしいです。そこだけに酔っていたいと思わせるほどです。なお「もう一度ベートーヴェン」(仮題)の次作も読みたいです。いろんな分野を書き分ける作者の器用さは評価しますが、やはり音楽に惚れ込んでいるのが伝わる作品が好きです。

「殺し屋たちの町長選挙」強迫神経症の斉藤は、その症状によって仕事を干された元一流の殺し屋。再起を図るべく斡旋サイトから選んだのは、愛知県の町長殺害・報酬100万円。かつて見たことのない安値に、ほかに手を挙げる人物はいないだろうと踏み、復活戦にちょうどいいと喜んだ。しかし斉藤のほかに3組もエントリー。かつてその名を馳せた殺し屋たち。役人コンビ、殺し屋組合の経理担当者など、激しいバトルが始まる。

殺し屋たちのユーモラスなキャラ立ちがいいので、楽しめます。もう一度確認しないと心配で失敗する斉藤のほかに、それぞれがなにか仕事に支障を来す症状持ちばかりです。町長殺人計画中に姉のアリスを探すミツルは、さらに生まれたばかりの赤ん坊の亜理須を託される。オネエキャラの斎藤がうまく緩衝剤になり、軽妙な後味が良い作品になっています。

「ハイ・ライズ」映画のCMに惹かれて読んでみました。1980年の作品なのですね。まだ高層マンションが少なかった時代でしょうか。40階マンションで閉鎖的な社会を形成し、下層階と上層階の対立で人間性を失っていくさまを描いています。冒頭ベランダで犬を電話帳で焼いて食べているシーンから、過去に遡って物語が始まります。

秩序立っていたはずの住人たちが、エレベーターの封鎖、停電、スーパーの商品が強奪される。ダストシュートが、トイレが詰まる。なにかに取り付かれたように野生に帰っていく狂気の激流に、一気に飲み込まれました。今の時代では起きないかも知れません。映画を見に行く気をなくしました。

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪
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