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(No.5912)中村文則「土の中の子供」「悪意の手記」/結城充考「躯体上の翼」/黒川博行「繚乱」

2016.09.30 (Fri)


(ルリマツリ:夏の終焉を告げて最後まできれいな姿:市内)

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もう9月が終わりますね。
梅雨入りから梅雨明け、台風、秋雨前線の雨と、30度超えの不安定な夏が終わります。雲が多く、紫外線アレルギーのわたしはいくらか助かりました。けれど農作物の成長には最悪の状況でした。野菜、果物不足が目に見えて感じられます。ベランダに干しても乾き切らない洗濯物に、コインランドリーが人気というのがわかります。
せめて、さわやかな秋晴れになってほしいですね。

今回は4作で、溜まっていた感想はここまでです。読書も新しくスタートです。
中村文則「土の中の子供」「悪意の手記」
結城充考「躯体上の翼」
黒川博行「繚乱」

「土の中の子供」27歳のタクシードライバーとして日々を送る私は、親に捨てられ孤児として日常的に虐待された日々の記憶に苦しめられていた。自己破壊衝動のような喧嘩沙汰を起こしたりする。

幼少期の虐待に目をそらさず、真っ正面から描く姿勢が作者の持ち味です。それと引きずり込まれるような筆致はいつもながら驚かされます。人間の醜い欲望を描きながら、最後にかすかな光が残るからまた次の作品を読みたくなるのでしょう。

「悪意の手記」血小板減少という大病に冒され、精神の錯乱もあり死を自覚した15歳の男が、奇跡的に回復に向かった。学校に戻ってもどこか別世界にいる感覚で、生きる意味を見出せずにいた。首を吊ろうとしたところに、心配した親友「K」が来た。話しているうち、全ての生を憎悪しその悪意に飲み込まれ、ついに「K」を殺害してしまう。だが警察は自殺として処理した。そして「K」の母親に憎しみをぶつけられ殺されそうになる。

三つの手記で構成されています。心の内にある「悪意」の正体を知りたくて、一気に最後まで読んでしまいました。作者の中にある「核」をつかみたかったのです。隔靴掻痒で、読み終わった後また次作に期待してしまいます。

「躯体上の翼」およそ百年を費やし〈共和国〉の互聯網(ネット)を探索できるようになった少女・員(エン)。すでに瑞々しい情報の涸れ果てた互聯網上を彷徨うなかで、彼女はcyと名乗る人物に呼びかけられる。会話を交わすうちに、徐々に絆を育む員とcyだが、共和国の緑化政策船団が散布する細菌兵器の脅威がcyに迫っていた。

大掛かりな構成に想像力をかき立てられます。ただcyがおおよそ予想がついてしまうため、途中の戦闘や他の人物像までも、冗漫に思えてしまいます。作者の基本にあるものが、弱いのでしょう。

「繚乱」大阪府警を追われたかつてのマル暴担当刑事、堀内と伊達。競売専門の不動産会社で働く伊達に誘われ、東京で暇を持て余していた堀内は、大阪へと舞い戻る。再びコンビを組み、競売に出る巨大パチンコ店「ニューパルテノン」を調べるふたりは、利権をむさぼる悪党たちとシノギを削ることに。警察OB、ヤクザ、腐敗刑事を敵に回し、ふたりは大阪を駆け抜ける。

しばらく作者と離れていましたが「後妻業」がおもしろく、他の作品も読んでみようと思いました。けれど多少期待したものとの温度差を感じてしまいました。暴力が日常にあり過ぎて読み進めるのがわたしには辛かったです。構成も展開もキャラも文句の着けようがありません。こういう路線で確立しているのですね。単にわたしと肌が合わなかったとしか言えません。あとは読まないと思います。

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪
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