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(No.5937)飛 浩隆「自生の夢」/廣嶋玲子「妖たちの四季 妖怪の子預かります-3」

2017.01.10 (Tue)


(ソシンロウバイ:今年はどの花も開花が早そう:公園)

今年もたくさんのおもしろい本に出会えますように。
今回は2作。10年も待った、飛さんの作品!
飛 浩隆「自生の夢」
廣嶋玲子「妖たちの四季 妖怪の子預かります-3」


「自生の夢」文字を変貌させる怪物「忌字禍(イマジカ)」を滅ぼすために、「わたしたち」はある男を放つ。話す力で人を死に追いやった、30年前に死んだ稀代の殺人鬼・・「自生の夢」
霧が晴れたとき、海岸に面した町が「灰洋(うみ)」に翻弄される。人も街も飲み込まれ形を変えられていく・・「海の指」
宇宙空間からぽんと切り抜いた「星窓」を、少年が買ってきた。いない姉が現れ時間が巻き取られていく・・「星窓 remixed version」
アリスは生まれてすぐ、文章で記録する装置「Cassy」を両親から与えられた。天才詩人となって生み出したもの、遺したものとは・・「#銀の匙」。「曠野にて」。「野生の詩藻」。
「われわれ」は、開発した「スウォームキャスト」で、宇宙のさまざまな場所で生命を育て、よりすぐりの生命体に原語基盤原語をインストールした。そしてその方角と距離の情報を収集する・・「はるかな響き」

10年ぶりの作品です。作家が生きている情報はありましたが、飛び上がるほどうれしいです。意識と皮膚感覚まで持っていかれるSFのおもしろさを味わえました。読者の想像力の限界を試されているようでした。思考を裏返され、地に潜らせられ、宇宙に放り出されるのです。時間を忘れ、言葉の裏表を探り、飛氏の世界を存分に楽しみました。10年前の世界の、甘美な毒を再び飲んでしまったわたしは、次の作品をまた待ち続けるしかありません。感性が衰えないうちに次を読ませてほしいです。

「妖たちの四季 妖怪の子預かります-3」妖怪に花見に誘われた弥助と千弥。ふたりの後をこっそり尾けていた久蔵は、不思議な場所に出た。・・『春の巻』。千弥と月夜公の過去の因縁の物語・・『冬の巻』。ついに明かされる千弥の過去。四季と公募で選ばれた妖怪編。

妖怪が生まれる過程にぞっとしつつ、望みが哀れでもありました。千弥と月夜公の過去が一番知りたかったところだったので、引きつけられたいい話でした。千弥の奥深い痛みに共感しました。壮大な描写がアニメ映像化してほしいと思ったほどです。このシリーズはとにかくおもしろいです。

「Book」読書日記は作家ごとの感想です。よかったらどうぞ〜♪
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*Comment

★自生の夢

飛浩隆、ようやくの新刊ですね。いやー待ち続けてよかった(笑)。今現在も執筆は続けておられるようですし、次作の目途もたっているようなのでほっとしました。
とは言え、彼が不在だった10年間で日本のSF小説が大分進化し、10年前のような最先端感は感じなくなったかなというのが正直なところです。もうちょっと早くに刊行されていたらと思うと惜しい・・・。とは言え、小説としてはやはり面白くイメージ想起力は強いですね。
くら |  2017.01.18(Wed) 15:25 |  URL |  【コメント編集】

★10年は長い

飛浩隆、ほんとうに待たせ過ぎですよ〜(^^;)
次作の目処もあるのですか。それはうれしい。
10年でSFは確かに変化したし、トップを走る感じではないですが、好きですね!ご本人も自認されているのでは?
彼の小説の説得力や想像をかき立てる筆致がいいですね。次作が楽しみです。
yui |  2017.01.19(Thu) 08:03 |  URL |  【コメント編集】

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